第31話 おじいちゃんの感

 

 外で音がしたので、私が入り口のドアを開けに行こうとしたときには、ももちゃんはもうカップの中に戻って、カップが動くんじゃないかと思うくらいに、首と体をブルブルがおかしかった。


「お帰りなさい、おじいちゃん」

「ああ、ただいま。とう子、お前、ここでストレッチか何かしていたのか? ちょっと汗をかいているじゃないか」


「あ! うん、ちょっとね、運動不足うんどうぶそくだから」

布の世界でボルダリングと洞窟探検どうくつたんけんをしていたのだから、そうなったのだろう。


「と、言うことは・・・今度のなぞなぞはわからなかったかな? 」と荷物を楽しそうに置いた。


「いやいやおじいちゃん、わかったよ。色が染まるって、藍色君や水色君が迷路めいろのような布の中に入っているからなんだね。そこから出られないから、そのままなんだ」


「藍色君? 水色君? 」


「ああ! あ! あの色の粒というか・・・そう言うことかなと思って」


「正解だが・・・お前何かで調べたか? まあ、それでも良いけれど・・・でもよくわかったな・・・藍の仕組みは他の染料とはちょっと違うから」


「そう・・・なんだ・・・」

ちょっと知らないふりをしてみた。まあ教えられた事だから、そうしても良いと思う。


「やっぱり・・・考えることは大事だな。おれもとう子には負けられないな」


「そうだね、競争だ」

「ほう、じゃあ今度のなぞなぞはおじいちゃんが出すぞ! 」

「いいよ! でも・・・出来れば・・・この喫茶店の中から問題を出してもらえないかな? 中に置いてある物とか・・・」

「どうして? 」

「だって、皆と仲良くなれるから! 」

「喫茶店の物と? 」

「うん! 」

「とう子・・・・・」


おじいちゃんがちょっとうるっとした目になった。

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