校則 生徒会
仲仁へび(旧:離久)
第1話
その日、私は生徒会に入った。
生徒会長として。
それは選挙で、勝ち取った結果だ。
私はとりあえず、これからやるべき事を考えた。
とりあえず、一番の目標は校則の改善だな。
生徒会長になったから、私を支持してくれた生徒達のために、校則をなんとかしなければならない。
わが校の生徒達からの意見はざっと「学食が高い、空調設備がない、トイレが遠い。どれもお金のかかる問題だな」こんなものだ。
ここに並んだものは、一筋縄ではいかないものがかり。
簡単に改善できなさそうにないな。
生徒会長になるために、目の前にあるリストに記された中で、どれか一つでも良くすると約束してしまったが、その道は険しそうだった。
うんうん悩んでいると、副会長に選ばれた男子生徒がやってきた。
私と同じく投票で選ばれた男。
洒落た演説をしたわけではないが、とにかくカリスマが高い人間だ。
そいつは私の手元の要望書を見て、「そんなの簡単じゃね? 学食が高いなら、野菜を自分とこで育てりゃいいっしょ」と言った。
見ての通り、喋り方がちゃらい。
だが、こうみえても一応学年トップの成績なのだ。
人は見かけによらない。
「学生の本文は勉強だぞ。その野菜を誰が育てるというのだ。教師だって暇じゃない」
それからも二人であーだ、こーだ喋っては、頭を悩ませた。
だが、一向に打開策は見つからない。
「ままならないものだな。やる前は簡単そうにみえたのに」
決まり決まりとうるさい大人達。
私達は、日ごろから文句を言うばかりだが、柔軟に対応しようにも現実がままならない部分もあるのだ。
「やってみると意外と大変、ってやつだな。いっそやめちゃう?」
やめちゃわない。
ここで投げ出すようなら、最初から生徒会などという面倒くさいものには入らない。
「そんなわけいくか。みんな、私達を頼って票を入れてくれたというのに」
「真面目だねぇ。頑固だねぇ、融通きかなさそうだねぇ」
どうとでも言っていろ。
「どっこらせ」とか言って机に腰かけて、足をプラプラさせるチャラ男副会長。
彼は、チャラチャラした雰囲気をまとわせつつも、一定のカリスマがある。
こいつが余裕あるなら、まだ大丈夫じゃないか?
みたいに、人に感じさせるところがあるらしい。
この男が真面目になった時は、よっぽど大変な事が起きた時なのだろう。
逆に言えば、だから、現状はまだ大丈夫、なのだろう。
解決する方法はどこかに必ずあるはず。
「ねー、かいちょーサン。生徒会メンバーに立候補しろって俺に声かけたのかいちょーサンだけど、それって何でだったわけ?」
「さあな」
私が彼の知る通り、真面目で頭固くて、融通聞かない人間だからだろう。
生徒会選挙を行う前に、さんざん生徒の要望について頭を悩ませ、改善の方法を考えた。
それでも良い案が浮かばなかったから、こいつに賭けたのかもしれない。
私は過去の思い出を引っ張り出す。
「夜遊びで校舎に侵入したクラスメイト達を、私が叱った時のことを覚えているか?」
「ああ、あれね。面白かったわー」
私が先生に告発するか、自ら先生に叱られに行くか、クラスメイトに詰め寄った時。
あいつは、俺に一年間ウザ絡みされるか、先生に一時間説教されるかとかクラスメイトに言ったんだよな。
馬鹿みたいなことだったけど、反抗的で剣呑だった空気があれで変わったんだ。
あの頃の私は今より頭がうんと固かったからな。
「私はお前を頼りにしていいんだよな」
「何のことか分かんないけど、任せてよかいちょーサン。そのための副会長だろ」
校則 生徒会 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032
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