えっ!こんな状態でも転生できる異世界が!?

さこつ ろくろう

#1 プロローグ

「……ここら辺かな」

蒸し暑い夕方だ。オレは運転していた車を停めた。


「この電柱2本が目印の交差点ね。スタンバイOKっすよ」

「じゃあ、雨が降り出すまで待機でお願いします」

「了解」


仕事の電話は短く済ます。

「しまった、雨がいつ降るのか訊いてねぇわ」


まあどうせわかるものでもないので、狭い車内でできるだけ肩を動かしていた。

だが、これから雨が降ることは確実なのだ。


雨が降り出した。合図だ。電話が鳴る。

「では、手筈通りに」

「最初に飛び出してくるメガネの男子っすね」


エンジンをかけなおし、アクセルを踏む。

オレを載せて車は交差点に吸い込まれていく。

ガキどもの楽しそうな声もエンジンの音にかき消されている。


そして――


メガネの少年と目が合った。その瞬間。


「おいおい、嘘だろ……」

オレのトラックが宙を舞った。


「何だよこれ!? 聞いてねえぞ!? 担当! オイ!?」

「大丈夫ですか! 死神さん!! どうしました!?」


オレは死神。今は異世界転生斡旋を生業としている。


が。


――どうやらオレが死んだようだ。

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