第43話 ギルド隊その4
連携攻撃が始まった。まずは弓隊が矢をうちかける。ガーゴイルは軽く剣を使って飛んできた矢を薙ぎ払う。そこを軍の魔法士が詠唱をしながら走り、魔法の射程距離内に入った。
「アイスバレット!」
「ファイヤーランス」
「グレートサンダー」
中級魔法がガーゴイルを襲った。3匹のガーゴイルに各魔法が直撃した……………が、対して効いていない。魔族やその直属兵は魔法耐性が強いのだ。シェリーはやはり、と思い次の攻撃の合図をした。
「ギガライトフラッシュ!」
バーザムの光魔法が打ち上げられる。空中のガーゴイルの目の前でその魔法は発動した。大閃光が発生しガーゴイルの視界を奪った。名前は大袈裟だがただの目くらましだ。
「グガ!」
ガーゴイルは目の前で閃光が光り、フラフラと降下していく。目が見えない今こそがチャンスだ。
「ウォーターバインド」
「ウィンドバインド」
「イーヴイバインド」
水、風、木の属性による拘束魔法が3体のガーゴイルに襲いかかる。水のロープ、風のロープ、木の蔦が目の見えないガーゴイルに巻き付き、ガーゴイルはそのまま動きを封じられ地面に落下しそうになったが、空中でもがき拘束を自力で解いた。魔法耐性が高い相手には拘束魔法ですら効き目は薄くなる。
それを見越していたシェリーはズサに、
「今よ!」
「ロックランス!」
「グランドケージ!」
震える大地のメンバーによる土魔法が炸裂した。ロックランスは地面から突き出た固い土の槍、グランドケージは石の鳥かごのようなものだ。1匹のガーゴイルはロックランスが直撃し地面に転がっている。1匹はケージ内に捉えた。そしてもう1匹は攻撃を躱しメリーに向かって剣を振おうとしている。
そのガーゴイルに向かってシェリーのトンファーが襲いかかる。シェリー、メリーとガーゴイルの2対1の戦いが始まった。ガーゴイルはまだ少し目に影響が出ているようでシェリーの攻撃を必死に防いでいるがメリーのパンチやキックをもらってしまう。最初はシェリー、メリー組が押していたが徐々に目が回復したのかメリーの攻撃が当たらなくなった。剣を上手く使って防御している。そして突然ガーゴイルの口が開き、火の玉が飛び出した。メリーは慌ててしゃがんで避けたが、そこにガーゴイルの蹴りを食らってしまった。吹っ飛ぶかと思えたが、腕を十字にしてガーゴイルの蹴りをなんとかブロックしている。ただし、手が痺れてしばらく使い物になりそうもない。
シェリーは左手にトンファー、右手にはカイザーナックルを着けていた。たまにガーゴイルに攻撃が当たるものの大きなダメージにはなっていない。Bランクの魔物のHPを削ってはいるが倒す前にこちらが消耗してしまいそうだ。やはりあれを使うしかない。だがきっかけが。
その頃他のガーゴイルには他のBランクパーティーが対応していた。石の槍でダメージを受けたガーゴイルには赤い流星のメンバーが再び魔法で拘束し短剣で攻撃している。そこにバーザムが
「ライトニングセーバー」
奥の手の光の剣でガーゴイルの首を切り落とそうとしたが、刃が3cm食い込んだところで止まってしまう。動きが止まったバーザムに向かってガーゴイルの剣が襲いかかろうとしていた。バーザムは食い込んで抜けない光の剣を素早く消し、もう一本ベルトから剣を出そうとしたが間に合わず左腕を切り落とされた。
「グア、」
「バーザムさん」
ボーラのファイヤーランスがガーゴイルの顔に当たり仰け反った隙にバーザムを引っ張って後方へ下がらせた。ガーゴイルもだいぶダメージを負っていて空へ逃げ出した。
「メテオラ」
バーザムの光魔法だ。意識が朦朧とする中、最後の気力を振り絞って放った光の流星軍がガーゴイルを襲った。ガーゴイルは再び地面に叩き落とされそこに軍の魔法士が集中砲火を浴びせ、弱り切ったガーゴイルをとどめにと短剣でめった刺しにした。通常では刺さらない短剣も弱っている時に全力でぶち込めば刺さるのだ。ガーゴイルは倒れた。バーザムにはすぐさま回復魔法と軍が持っていたメガハイポーションが与えられた。メガハイポーションは効果は絶大で、欠損部位も治す。ただ貴重なため、この軍にも3つしか用意されていない。
石の籠に閉じ込められたガーゴイルは力ずくで石を壊し、脱出しようとしていた。そこに震える大地のメンバーが攻撃を加える。
「ロックバレット」
石飛礫がやんややんやと飛んでいく。そしてズサの詠唱が終わると、地面から腕が生えてガーゴイルの足を掴んだ。
「ゴーレムハンド」
土の中級魔法だ。ガーゴイルは剣で地面から生えた腕を斬ろうとガンガン叩いている。片足が自由になり、もう片足という時に軍の魔法の集中攻撃を浴びる。魔法耐性があるとはいえ数の暴力には勝てない。徐々に消耗しフラフラになっていく。そこを、
「ハードストーンランス」
ズサの石槍がガーゴイルの胸を貫いた。勝ったと思った瞬間、ガーゴイルの腕から剣が投げられズサの胸を貫き、口から火の玉を軍に向かって3発出した。ズサはその場に倒れ、軍にも死傷者がでた。ガーゴイルはそのまま力尽きた。ズサはポーションが間に合わず命を落とした。
シェリーの戦っているガーゴイルは空が光り流星群が別のガーゴイルを襲っているのを見た。ガーゴイルはそっちに気をとられた。今だ!
「ファイヤーサークルウォール!」
シェリーのとっておきの魔法が発動した。ガーゴイルの周囲を炎の壁が覆い視界を遮った。
「メリー、今よ。急いで!」
「はい、シェリーさん」
2人の身体が大空に舞う。
『スクリュークラッシャーダブルキーーーーーーーーック!!』
2人の合体技がガーゴイルを襲う。ガーゴイルは炎の壁を気にせず前に出てきたが敵の姿が見えずキョロキョロしている。その首に必殺の蹴りが直撃した。首がもげる事は無かったがゴキッという音と共に首があらぬ方向に曲がり苦しんでいる。そこを青い閃光のメンバーが襲いかかりとどめを刺した。
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