第7話 ギルドに行ってみた

 盗賊ザインはお尋ね者だった。ギルドから討伐依頼が出ていて賞金が貰えるという。殺した盗賊に対しても賞金が出るらしい。警護団の人達が現場を検分して査定額を決めてくれたそうだ。カツヨリはゲンゾーと別れてギルドへ向かった。あれ、両腕がふさがったぞ?


 右腕を抱きかかえるのはリコ、左腕はリリィにがっちり組まれていた。大きいのと小さいのがあたっております。大きくても小さくても味があるのっておっ〇い以外にあるのかな?あれ?なんか俺性格かわってない?こんなに下衆かったっけ?まあいいや。


「リリィ。俺たちはギルドへ行くんだがリリィは買い物とかしなくていいのか?村の為に色々忙しいんだろ?」


「昨日村長にお許しをもらったの。カツヨリと一緒に行きたいって言って。家族もいないし一生村で過ごすよりいいかなって。それにカツヨリ強いしね、凄かったよあの魔法跳ね返したやつ」


 お嬢さん、目がハートになってるばってん。ほう、こういう展開か。可愛くて巨乳なら文句はない、ではない。この世界の知識がない俺には必要なパートナーだ。うん、きっとそうだ。巨乳は別に関係ないぞ、大きさだけが全てでは、おっと、またリコがジト目で見てる。


「リコはどうだ?リリィが一緒じゃ嫌か?」


「昨日聞いた5つの国にヤンギュー国がなかった。お兄ちゃんは記憶がないし私もわからない事だらけだし。リリィが一緒だと助かると思う」


 じゃあ決まりだな。リリィが仲間になったので早速冒険者ギルドへ向かった。


「うーん?あの建物かな?なんか思ってたのと違うぞ」


 なんか塔みたいだ。近づくと思ってたよりでかい。とりあえず入ってみる事にした。扉を開けるとまあ賑やかな事、というより騒がしかった。食堂だろうか、酒を飲んでるやつもいる。その奥に広ーーーい掲示板があり依頼が貼ってある。その横には受付窓口が5つ。受付嬢らしいお姉さんがたっている。うん、ギルドだ、よくあるやつだ。


 カツヨリは空いている受付の前に立った。おおおおおお〜ウサ耳だわさ、お姉さんウサ耳。大事な事なので何回も言う。ウサ耳どえす。飾りじゃないのよウサ耳は、なんと獣人なのです。見とれて眺めていたらお姉さんが話しかけてきた。


「はい、そこの少年。両腕に女の子従えていいご身分ね。ギルドに何の御用かしら?」


「すいません。初めてギルドに来たのですが、色々教えて頂けませんか?」


「あら、丁寧なのね。だいたいギルドに来る男どもは実力もないくせに意気がるのが多いのだけれど、君は違うようね。初めてという事は登録もしてないのね?」


「はい。3人ともお願いします」


 お姉さんの名前はシェリーというらしい。ていうか名札を見ただけだが。登録用紙に名前と年齢、得意な魔法を記入するのだがカツヨリは今まで魔法が発動した事がない。一体何が得意なのか?それをシェリーに言うと鑑定鏡を使わせてくれた、というか全員使わないといけないみたい。


「じゃあ、リコからね。この鏡に手を触れて深呼吸してね」


 シェリーはまずリコを指名した。


 リコ

 人族 女 12歳


 Lv   2

 HP  15

 MP  15

 力 6

 防御 6

 魔力 10

 素早さ 2

 運 5


 魔法 風Lv 1 火Lv 1 回復Lv 1


 スキル

<MP自動回復小> <MP消費削減小>


 固有スキル

 なし


 シェリーがおどろいていた。


「す、凄いのね。魔法が3属性使えて回復持ち。この町で2人目の3属性持ちね。回復持ちは重宝されるわよ。しかもMP系の特殊補助スキル付き。有望どころか王宮にスカウトされるレベルよ」


 次にリリィが鑑定を行った。


 リリィ

 人族 女 16歳


 Lv   9


 HP 40

 MP 55+2

 力 15

 防御 15+2

 魔力 28+2

 素早さ 10

 運   10


 魔法 風魔法Lv 2


 スキル なし


「あなたも風魔法なのね。その帽子かしら、魔力を増やす効果があるわよ」


「兄の形見なんです。とても大事な物です」


「そう、お兄さんがきっと守ってくれるわ。次はあなたね」


 カツヨリが鑑定鏡に手を伸ばすと、鏡が震えだした。『ガタガタガタガタガタガタ』手を離すと震えが止まった。カツヨリはシェリーを見て、


「これってどうしたらいいですか?」


「こんな事初めてよ。もう一回やってみて」


 再び鑑定鏡に手を近づけると何も起きなかった。何だったのだろう?シェリーの顔を見るとやれって感じだったのでそのまま手を乗せた。


 カツヨリ

 人族 男 16歳


 Lv   10

 HP 200

 MP  150

 力 100

 防御 100

 魔力 100

 素早さ 100

 運 100


 魔法 xxxx


 スキル

<状態異常防止Lv5> <魔法ダメージ削減Lv5> <剣技Lv8> <抜刀技Lv10> <二刀流Lv2> <射撃Lv5> <体術Lv5> <加速Lv3> <HP自動回復小>


 固有スキル

 剣神  女神の加護  勇者の影


 シェリーは口から泡を吹いて固まっていた。呼んでも返事がなくどっかの世界へ旅立っているようだ。カツヨリは何となく自分が異常なのがわかった。魔法xxxxって何それ。それにスキルの多い事。ステータスも強そうだし、ただ一番気になるのは固有スキルだ。勇者の影ってどういうの、これ?


 3分ほど経ったらシェリーがこっちの世界に帰ってきた。ちょっと待ってて、ギルマス呼んでくる。と叫んで部屋の奥に入っていった。


 リリィがカツヨリのステータスを見て、


「私も初めて見たからあれだけど、カツヨリって異常じゃない?私よりレベルが1高いだけで数値が大き過ぎる」


「みたいだね、ハハ」


 大きな音がしていかついおっさんが現れた。


「お前がカツヨリか。今、町長呼んだからそれまで奥の部屋にいてくれ。俺はこの町のギルドマスターでウラヌスという。うーむ、そんなに強そうには見えないが。その若さでそのステータスはありえん。知らないスキルも持ってるし」


 よく喋るギルマスだ。年は40くらいかな?ギルマスっていうくらいだから強いんだろうな。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る