ガラク皇国編

ショウコの街

 穏やかな風、澄み渡る空、一面の青い海。

 暑さはとっくに落ち着いて、とても過ごしやすくなった。


 天気は良好。

 海が荒れることは無く、ガラク貿易船団のガラクへの海路は順調この上ない。


「この時期の海は荒れることは少ないんですよ」


 私達の隣で話すのは、ガラク貿易船団所属の調理師つばきさん。


「皆さんのおかげで美味しい食事が、特に魚料理が沢山食べられて嬉しい限りです」


 つばきさんのたってのお願いで、血抜きをした魚を状態維持プリザベイションの魔法をかけて空間収納の中へと大量に収納して、私達はガラク貿易船団の船へと乗り込んでいた。


「さすがにルーリさんの魔導具を使った船の改修を待ってると、どれだけ時間がかかるかわかりませんからねー」


「ああいうのは地元の船優先だしねー」


 昼食もすみ、今はまったりと寛ぎタイム……と言っても、客である私達は特にすることもなくのんびりと船の旅を楽しんでいる。

 周りにはお昼休みで一緒に寛いでいるつばきさんと、その同僚の女性達。


 ガラク貿易船団は、いくつかのグループに分かれている。


 フラストハルン王国のミュセットと貿易を中心に行っているグループ。

 今私達が乗っている船がそれ。


 カルタナーカ連邦国と交易しているグループと、ジエンアルーブ帝国と交易しているグループ。

 そして、オルケストゥーラ王国と交易をしているグループ。


 カルタナーカと交易しているグループとフラストハルンを交易しているグループが拠点としているのが、ショウコと言うガラク皇国の南側にある港街。

 私達が向かっている街のこと。


「オルケストゥーラへ行くには、ショウコから北へ陸路を行く方が早いですね」


「だねー。ショウコから皇都ガラクを通って、サンシンの街で船にって感じ」


「ショウコからサンシンってどれくらいかかります?」


「馬車だと恵黄けいおうの頃の中旬には着くと思います。ガラクは南北には広くないですからね」


 大体三十日かな?

 まあこれは何事も無く進めればの話だ。


 ハルモニカ王国とフラストハルン王国は陸続きで文化も似通っている部分が多かった。

 今から行くガラク皇国は島国で、何処の国にもないような独特な文化がある国だそうで、余りの文化の違いからか、渡航者がめったに来ないとつばきさんたちは嘆いていた。

 出没する魔物も大きく違うそうで、何が起こるか全く予想できない。


「こっちの大陸はパンが主食なんですが、ガラクの主食はお米なんですよ。それを受け付けない人が多い印象です」


「お刺身なんて嫌がる人が大半なんだよね。美味しいのに」


「魚の生食文化が無い国の人だと、受け付けない人多そうですね」


「メノウちゃん、つばきから話聞いたよー? うちの食文化に詳しくて、さらには料理の腕前はつばき以上だって」


「それほどでもないですよ。まだまだ未熟です」


 つばきさんの横で人懐っこい笑顔を浮かべているのは、つばきさんの同僚で調理師のちゃちゃさん。

 茶色い髪にたれ眼の笑顔が可愛いらしい女性。


 ガラク皇国は、東西に長く南北に少し伸びた弓なりになった国土を持つ、山が多く水豊かな島国。

 小麦も栽培してはいるけれど、主流は米作。

 風習や文化も島国だったために他の大陸の影響が全くなく、ガラクとよく似た文化を持つ国が全く存在しないと言っていいほど独自の文化を持つ。

 話しを聞くほどに、日本の文化と近いものを感じることがよくある。


 言葉の問題に関しては……すっかり忘れていた。

 ハルモニカ王国とフラストハルン王国は同じ言葉を話していたし、つばきさんもちゃちゃさんも普通にリステル達と話をしていたから、ガラクの言葉もそうだと勝手に思い込んでいたのだ。

 今更慌てた所でどうにもならないので、現地で通訳が出来る人を雇うしかない。


 と、思っていたのだけれど……。


「瑪瑙、ガラクの言葉がわかるの?!」


 リステルが眼を見開いて驚いている。


「みたい……」


『というか、普通に話せてますよね?』


 そんな私の横で、ガラク語で話すつばきさん。

 私には日本語にしか聞こえないけれど、四人には知らない言語にしか聞こえないらしく、さっぱりわからないそうだ。


「あー、私は普通に日本語しか喋ってないんですよ……」


『ニホン語? メノウさんの元居た国の言葉ですか?』

「確か、お前さんのいた国がニホンじゃったな?」


「「「「「「……」」」」」」


 私が日本語で話すと、何故かガラク語で喋っているつばきさんと、共通語で話しているみんなにも言葉が通じてしまうというなんとも奇妙なことが起こった。


 ガラク語が日本語と一緒と言うわけではないのだろう。

 何故だかわからないけれど、私が話す日本語が、どういうわけか共通語やガラク語を話す人たちにも理解できてしまうという事なんだと思う。


 酷い疑問は残ったものの、私がガラク語がわかるし話せる? という事がわかっただけでも良しとすることとなった。


 あれこれと考えた所で何かがわかる訳ではないので、今はこの変な能力の事は考えないことにした。


 いつか、私がこの世界に放り出されてしまった理由と一緒に、この力の謎がわかる時が来るのだろうか?



 船旅は順調に七日目を迎える。

 風もいい具合に吹いたそうで、早朝にはガラクの大地が見えてくるそうだ。


「魔物とか出るのかと思ったんですけど、平和そのものでしたね」


「そうそうこんな大きな船を襲う魔物は出ませんよ。海竜サーペントが特別に危険すぎるだけですからね」


「そうそう。しょっちゅう海で魔物に襲われてたんなら、交易って言う文化はできなかったよ」


「それもそうですね」


 朝食が済んだ頃、船内が少しあわただしくなった。


「何かあったのかのう?」


「あ、そろそろショウコが見えたんじゃないかな?」


 首を傾げるサフィーアに、ちゃちゃさんが答える。


「おっいたいた! ショウコの街が見えたから、嬢ちゃん達降りる準備をしときな!」


 船員の男性が私達を探していたらしく、声をかけてきた。


 荷物といっても、私達は旅行鞄やリュックを背負って旅をしているわけじゃなく、全部空間収納の魔法の中にしまってあるので、手ぶらと同じ。


「皆さんは空間収納の魔法があるので手荷物はありませんよ」


「おっとそうだった。余計なお世話だったかな? まあ忘れ物がないかはチェックしておいてくれよ!」


「はーい! ありがとうございまーす!」


 私がお礼を言うと、男性は足早に去って行った。


「ねえねえ、甲板に出てみない?」


「出たいけど、邪魔になりません?」


「大丈夫大丈夫! じゃあちょっと行ってみよう!」


 そんなわけでちゃちゃさんに連れられて、私達は甲板へでた。


 遠くにぼんやりと陸地が見えた。

 それは、高い山々が並び立つ緑にあふれる島。


 あれがガラク皇国……。


「やっとここまで来たね」


「ようやく半分。まだまだ先は長いわね」


「まずはショウコで宿をとってゆっくりとしたいものじゃのう」


「文化が違うし言葉が通じないから、私は不安でしかないわ」


「ガラクの食べ物いっぱい食べたい!」


 期待と不安。

 不安を多めに胸に抱いて、私達は初めての国を眺めるのだった。


「あ、皆さん甲板に居たんですね?」


 少し慌てた様子でこちらへ来たつばきさん。


「つばきさん、どうしたんですか?」


「ショウコに滞在中は皆さんを案内させてもらえませんか? もう許可は頂いてるんですよ!」


「あっいいな! 私もついて行っていい?」


「ちゃちゃ? 一応皆さんの観光案内っていうちゃんとしたお仕事なのだけど?」


「そんなこと言って! この五人と遊ぶつもりでしょ!!」


「……てへっ!」


「私も船長に許可貰ってくるー!」


「あっ! ちゃちゃ!」


「あーあ、行っちゃった。私達別にまだ一緒に行くって言ってすらいないんだけど……」


「え?! だめです……か?」


 リステルがため息交じりにそんな事を言うと、つばきさんの狐耳と尻尾がへにょんと垂れてしまった。


「もちろん来てもらえると嬉しいですよ! 正直始めてくる国なので、右も左もわかりませんしね」


「よかった! ちゃちゃはやめておきますか?」


「そんなこと言ったらちゃちゃさん泣いちゃうんじゃないですかね?」


「ちゃちゃお姉ちゃん面白いから、一緒に来てほしい」


「ふふ、ありがとうハルルちゃん。ちゃちゃもきっと喜ぶわ」



 船がいよいよショウコの港へ着く。


 何か問題があったわけではないけれど、初めての船旅、慣れない船内での生活、地面がなく逃げ場がないという頼りのなさから、精神的な疲れが溜まっていたのだろう。

 もうすぐ地面を歩けるという事に安心した瞬間、どっと疲れが押し寄せてきた。


 タラップがかけられて、まず最初につばきさんとちゃちゃさんがおり、その後ろに続くように私達五人が降りる。


「お疲れ様でした」


「お疲れー! 初めての船旅って聞いたけど、どう? すっごい疲れたっしょ?」


「寛いでいたはずなんですけど、結構疲れてますね。地面があることにこんなにほっとするなんて」


 リステルが大きくため息をついて、地面を何度も踏みしめている。


「ハルルちゃんはどう? 疲れてない?」


「ん! お船楽しかった! また乗りたい!」


「ほー! ハルルは大物だねー! お姉ちゃん達しっかりしなよー?」


「あははは……。ハルルはこの中で一番体力と度胸がありますから……」


「お……おおお?」


 私達が呑気にお喋りを続けていると、サフィーアがよろよろとよろめきだす。


「大丈夫サフィーア?!」


 慌ててサフィーアを支える。


「具合悪いの?」


「いや、体調は悪くはないんじゃが、地面に立っているのにまだ揺れているような感じがしておるのじゃ」


「あー、サフィーアちゃん陸酔いだ」


「陸酔い? 船には酔わなんだぞ?」


「えっとですね。船の揺れに体が慣れたせいで、陸に降りた後も揺れている錯覚を起こしているせいでなるんです」


「あ、じゃあ私も揺れている感じが残ってるのは、陸酔いなのね?」


「ルーリちゃんもか。他は大丈夫? 私、馬車の手配してくるから、つばきはみんなの傍にいてあげて」


「ええ、お願いするわね」


「私もほんの少しだけど揺れてる感じがする。ちょっと不思議な感じがして面白いんだけど」


 どうやらルーリとリステルも軽い陸酔いが起こっていたようだ。

 私は眼を閉じても揺れを感じないので、どうやら大丈夫だった模様。


「つばきさん、これって治るんですか?」


「すぐに治りますよ。安心してくださいね」


 リステルが聞くと、つばきさんは優しく微笑んで答えた。


「つばきさんは大丈夫なんですか?」


「私も下船してすぐは揺れが残っている感じがしたんですけど、すぐに治まりましたね。今回は船に乗る期間が海竜サーペントの騒ぎで空いてしまったので、久しぶりに陸酔いを感じてます。私も初めて船に乗った後は、サフィーアさんみたいになったのを覚えていますよ」


「瑪瑙は陸酔いって知ってた?」


「ううん、知らなかった。だからびっくりしちゃった。具合は悪くない?」


「うん。軽く揺れてる感じがするのが少し気持ち悪いだけで、体調は悪くないよ。サフィーアは大丈夫?」


「体調は悪くないのじゃが、まだ揺れが酷いのう」


「うー、ハルルもなってみたい……」


「次に船に乗ったらなるかもしれませんから、また次回ですね」


「むー」


 ハルルの無邪気さにつばきさんは苦笑を浮かべつつ、ハルルの頭を撫でるのだった。



 ちゃちゃさんが連れて来た馬車に揺られて、ショウコの街を行く。


「この馬車って帆馬車ですよね? 形はハルモニカとかと一緒なんですね」


「そうですね。昔は駕籠かごなんてのもありましたけど、今では馬車が主流ですね」


「「「「「かご?」」」」」


 私達は揃って首を傾げる。


「一人を乗せた駕籠を、二人で担いで移動するんです」


 あー時代劇とかでたまに見た奴だ。

 私はテレビで見たことがあるのですぐに想像できたのだけれど、四人には全く想像がつかないらしい。


 馬車は港から居住区に移動する。

 建物の様相が一変し、私にとっては既視感の強い少し懐かしく感じる風景が広がっていた。


「高い建物ってそんなにないのね。高くても二階建てぐらい?」


「そうですね。ガラクの建物は木造ばかりですから、そんなに高い建物は作れないんです。あと地震がフラストハルン王国に比べるとかなり多いので……」


 地震が多いとか、ほんとガラクは日本によく似ている。


 石畳の上を馬車が走る。

 どうやら主要な路地だけ石畳で舗装されているようで、他の路地は地面が剥き出しになっていた。


 屋根も見知った形の屋根が続いている。

 ハルモニカやフラストハルンで見た平に近い瓦ではなく、波打ったような独特の形。

 田舎にある建物や、神社仏閣に使われているような屋根にそっくりな気がする。

 色もハルモニカやフラストハルンでは赤い瓦や、軽めの明るい色が多かったのに比べて、ガラクの屋根瓦は黒く重厚感があって、より一層私に既視感を与えた。


 どこか見たことがある様な気がする風景。

 だけど、どこか違う感じがする風景。


 景色を楽しめる反面、既視感とそれとは別に起きる記憶の微妙な齟齬みたいなものを感じて気持ちが悪かった。


 まあ、あくまで昔の日本にそっくりなだけで、ここは日本じゃなくて異世界のガラク皇国と言う別の国なのだ。

 比べるだけ無駄というもの。

 わかってるんだけどね。


 道行く人たちも、浴衣に似たような服装の人が多くいた。

 ただ、猫耳と尻尾が出ていたり、羽が出ていたりと、今までの国では見られなかった獣人たちも多く目に留まった。


 髪型は……普通だった。

 時代劇に出てくるようなちょんまげみたいな髪型にしている人は一人もいなかった。


「ここでいいんだよね?」


「ええ、ここが一番綺麗な宿だから。皆さん、着きましたよ」


 つばきさんの声ではっと目を見開く。


 どうやら馬車に揺られている間、私達五人はうとうとしていたらしい。

 思ったより船旅の疲れが溜まっているようで、ハルルちゃんはぐっすり熟睡中だった。


「すみません、寝てしまってました」


「お気になさらずに。初めての船旅で疲れも限界なんでしょう。ゆっくり休んでくださいな。皆さんは陸酔いはどうですか?」


「うむ。軽く寝入ったおかげか、ずいぶん良くなっておるのう」


「私はもう揺れを感じなくなってるわ」


「ハルルは完全に寝ちゃってるね。私がおぶってくよ。瑪瑙、背負うからちょっと手伝って」


「うん」


 驚くほど綺麗なお屋敷の前で馬車から降りると、綺麗な着物を着た女性が三名ほど出てきた。


『ようこそお越しくださいました』


『五名ですが大丈夫ですか?』


『もちろんです』


 つばきさんが、お屋敷から出てきた女性と何やら話している。


「瑪瑙、つばきさん達なんて言ってるの?」


「うん。五人だけど大丈夫かって。ここ、宿なんだって」


 宿って言うより、旅館って感じがするほど綺麗だ。


「はえー。ハルモニカとはやっぱり全然違う建物だね」


『それでは、ご案内しますね。こちらへどうぞ』


「皆さん、ついて来てください」


「「「「はーい」」」」


 つばきさんの後ろを歩く。

 大きな門をくぐり、玉砂利がしかれた路地を歩く。


「ほう、これは中々に美しい屋敷じゃのう。華やかさとは違う、重く静かで落ち着いた雰囲気。ハルモニカやフラストハルンとはまた違った美があるのう」


 正面のお屋敷が見えた所で、サフィーアが感嘆の声を上げる。


 そこに入るのかと思いきや、女性は左側の別の路地へと行く。


 見事な庭園をみつつ案内された場所は、一階建ての綺麗な建物があった。


「ここが宿泊する場所ですか?」


「そうですね。本館の方も空きはあったのですが、こっちのほうが皆さんゆっくりできるだろうと思いまして。食事とかも持ってきてくれるので、知らない人とばったりっていう心配もありませんし」


 どうやらつばきさんは、色々私達に気を使ってここを選んでくれたようだ。


 確かに知らない土地、言葉が通じない人々、リステル達には相当なストレスになるだろう。

 私は言葉が通じるから、そんな事気にしてなかったけど。


 ……というか。

 これから私が率先してガラクの人と話をしなくちゃいけないのか。

 今までリステルとサフィーアが大体の交渉事はしてくれていたから、頑張らないと。

 ……う、胃が痛くなりそう。


「つばきさんたちは、どうするんですか?」


「私達は宿舎があるからそこに帰って休むよー。お昼ごろに会いに来るからね」


「ちゃちゃさん達も一緒に宿に泊まりませんか?」


「えっいいの?! ここ前から泊ってみたかったんだよ!」


「ちゃーちゃ? あなたがいたら皆さんゆっくり休めないでしょう!」


「ひどくない?!」


「つばきさんもご一緒しませんか? 流石に知らない文化の土地なので、少し不安なんですよ」


 いくら昔の日本に似ているからと言って、マナーなんかも似ているとは限らない。

 この二人がいてくれた方が私としても安心できるのだ。


「私もいてもらえた方が嬉しいです。その方が瑪瑙もゆっくり休めるだろうから」


「……ルーリさん」


「つばきー! こう言ってくれてるんだからさー!」


「あなたはもうちょっと遠慮しなさい! すみません、ではお言葉に甘えて」


「じゃあ私は記帳とか諸々すませてくるから」


「お願いしまーす!」


 そう言って、ちゃちゃさんはさっき通り過ぎた大きなお屋敷の方へと引き返していった。


 玄関のすりガラスで出来た引き戸を開ける。

 中に入ると、ふわっと新築のような木の匂いが香っている。


『この玄関で靴を脱いで中へお入りください』


 言われるより少し早く靴を脱いでいた私。

 全くの無意識での行動だった。

 流石日本人の私。

 久しぶりにもかかわらず、体に染みついていた。


「あ、靴を脱ぐのね」


 言葉がわからないルーリだけど、案内してくれている女性と私の仕草ですぐに何をするかを察したようだ。


 木造の廊下を歩き、畳部屋へと案内された。


『それではごゆっくりお寛ぎください。お食事はまた後程お持ちいたします』


 案内をしてくれた女性がそう言って障子を閉めて去った瞬間、私達はそれまで伸ばしていた背筋を一気に崩す。


「皆さん長旅お疲れ様でした。何かわからない事があれば、聞いてくださいね」


「ありがとうございます。つばきさんがいてくれて助かりますよ」


「いえいえ。こちらこそ楽しませてもらっています。あ、そうだ。私、お風呂の準備してきますね」


「お風呂ですか? シャワーじゃなくて?」


「ガラクではシャワーはほとんどないですね。湯船に浸かるのが主流です」


「あー瑪瑙が喜ぶ奴だ」


「メノウさんはお風呂が好きなんですか? ガラクは温泉地が多いので、行ってみるのもいいかもしれませんね」


「それは余裕があれば行ってみたいですね!」


 こうして私達のガラク皇国の旅が、幕を開けるのだった。

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