第5話 かがみの世界



 次の部屋に入った瞬間、翔太は目を閉じた。

 眩しかったからだ。


 たくさんの光が翔太を照らしていた。

 明るさに慣れた頃、目をあける。

 翔太がいたのは、鏡が並んだ部屋だった。


 たくさんの鏡が所狭しと飾られていて、室内灯の光を反射していたから眩しかった。


 鏡はどれもピカピカにみがかれていた。

 だから、そこに映った姿はまるで本物のようだった。


 正しい通路を見失わないように歩いて行くが、何度も鏡にぶつかってしまった。


 そこはよくできた迷路だった。

 翔太が鏡の部屋から出るのに数十分もかかってしまっ。


 翔太の背中に向かって、鏡像がにやりと一瞬だけ笑いかけた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る