さめざめと泣く灰色よりも

一辺倒な青がいい

みっしりと詰まっているよりは

すっかりなにもないといい


囚われそうな濃い青よりも

澄んだ浅瀬の青がいい

無音の囲む深海よりも

波の音でも聴こえるといい


寂しがりやのぼくらはたいがい

おとなになるほど怖がりになる

だれかに出会いたいと思う

愛され愛したいと願う


涙のわけが変わってくる

バリエーションも増えてきて

どうにもならないことがある

深みに落ち込むかもしれない


そんなときにこそ思い出して

青をひたすらに体に満たして

その清廉さで清めるといい

冷静になれる色でもあるから


花も水も宇宙でさえも

あなたとおなじ場所にいる

あなたはおなじ青になれる

目蓋の裏を染めてみて





210705

深夜の二時間作詩 第116回「青」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る