第37話 魔王

 大地たちは魔王城に扉を開け入ってゆく。

 大地たちの足音だけが響く。

 

「不気味ですね」


 翠が言った。

 大地たちは慎重に進んで行く。

 大広間に出る。

 中央には上半身が牛。

 下半身が蜘蛛。

 の魔物が居た。


「モー」


 鳴き声と共に魔物は大地たちに襲い掛かった。

 大地と翠が前に出る。

 大地と翠は拳を握り同時に放った。

 魔物は後ろへ吹き飛び口から泡を吹き倒れた。

 大地たちは玉座に向かった。



 玉座に座る魔王ダーク。

 魔王ダークは大地たちと対面した。

 

「勇者よ。良くここまで来たな」


 魔王ダークは立ち上がった。


「待っていたぞ。我は配下を食らい強くなった。かかってこい。勇者と仲間たちよ」


 魔王ダークと大地たちの戦闘が始まる。

 魔王ダークは黒い球体を体から複数出す。

 大地たちは魔王ダークと距離を取った。

 人の頭と同じぐらいの黒い球体が大地たちへ飛んでくる。

 リーンは魔法で光りの壁を作り出し黒い球体を防ぐ。

 大地と翠は走り出した。

 大地は走りながら魔法を使い自身と翠たちを身体強化する。

 二人の体が赤い光に包まれる。

 大地は鞘から剣を抜き魔王ダークに斬りかかった。

 剣は空を切った。

 翠が続いて動く。

 拳を放つ翠。

 魔王ダークにかわされた。

 魔王ダークは刃の様に鋭い右手を振り下ろす。


「っ」

 

 翠は横に飛びかわした。

 魔王ダークを琴音は弓で狙う。

 弓矢を射る。

 弓矢が視界に入り魔王ダークは後ろへ飛んだ。

 ほぼ同時に大地が突きを放った。

 剣先が魔王ダークの左肩に刺さる。

 緑色の血が流れた。

 大地は剣を左肩から抜き攻撃する。

 魔王ダークは右手で受け止めた。

 大地と魔王ダークの攻防。

 互いに傷を負う。

 頬、胴、足に切り傷を負いながらも戦い続けた。

 戦えば戦うほど大地と魔王ダークの切り傷は増えてゆく。

 琴音は白音を召喚した。


(白音、力を貸して)

(分かってるって。体、借りるね)

 

 白音は琴音の中に入った。

 風の球体目の前に作り大きくする。

 

「リーン。魔王ダークの足止めできる?」

「やってみるわ。だいちさん、すい。魔王ダークから離れて!」


 大地は牽制する。

 魔王ダークは動きを止めた。

 翠と大地は魔王ダークから離れる。

 リーンは魔法を唱えた。


「魔王を貫け」


 天井から光の槍が現れ魔王ダークの手足を串刺しにした。


「いけー」

 

 白音は声と共に巨大な風の球体を飛ばした。

 巨大な風の球体は魔王ダークの目の前で爆発し切り刻む。

 魔王ダークはボロボロになりながらも立っていた。

 翠は魔王ダークに気づき距離を詰め連続で殴った。

 魔王ダークの体に拳の跡が残る。


「ふははは。楽しい戦いだった」


 魔王ダークは笑い消滅した。

 大地に笑みは無く汗を掻いていた。


「次元斬」


 大地は次元を斬った。

 次元の亀裂ができた。


「翠、琴音、リーン。早く亀裂に入り俺が居た世界に行け」


 翠、琴音、リーンは大地に駆け寄った。

 リーンは口にした。


「どういうこと?」

「女神がここに来る。女神は翠たちの事を良く思っていない。きっと女神は翠、琴音、リーンを魔物に変える。俺はもう見たくない」


 大地は涙を流した。


「俺は魔物となったお前たちを見たくない。女神が来る前に俺が居た世界に行け。翠、琴音。元の世界に戻ったらリーンを頼む。三人とも愛してる」


 リーンは叫んだ。


「だいちさんはどうするの?」


 大地は涙を零しながら笑った。


「女神と戦う」


 リーンは涙を零した。


「私も戦う」


 琴音はリーンの腕を掴んだ。


「駄目よ、リーン。私たちが居ても足手まといになるだけ」


 リーンは琴音を見た。

 琴音は涙を流していた。

 翠、琴音、リーンは大地の方を向いた。  


「「「愛しています」」」


 翠、琴音、リーンは前を向き次元の亀裂に入ってゆく。


  

 大地は独り女神を待った。

 次元の亀裂が消え女神が現れた。


「あら、三人は居ないのね。まあ良いわ。私が必要なのは貴方よ」


 女神は微笑んだ。


「私のものになる気はない?」


 大地は女神に剣を向けた。


「そう。それが答えなの。負けたら魔王にしてあげる。そして三人の記憶を消すけど良いわよね」


 大地と女神の死闘が始まった。

 


 一秒後。

 決着がついた。

 剣が折れ大地はうつ伏せに倒れた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る