第488話 カルベリアツリーのダンジョン最後の挑戦Ⅲ

「さて、爆ぜて死んでもらおう」


 俺はマカロフ卿から奪ったユニークスキル、復讐の時限爆弾リベンジ・タイムボムを二人に仕掛けてた。


「何を……した?」


 金龍アウルム・アエテルナーリスはそう恐る恐る俺に問いかけてきた。


「何ってユニークスキルを仕掛けただけだ」


「何だと!?」


「ほら」


 俺がそう言うと復讐の時限爆弾リベンジ・タイムボムが発動。勿論、二人は大爆発を起こした。特に恨みもないし、時間が経過している訳では無いけど弱っている二人を倒すには十分な威力だった。


「これでお終い」


 呆気なく終わってしまった戦いは、復讐の時限爆弾リベンジ・タイムボムで二人が木端微塵になって俺の戦闘は終わった。


「へえ。皆やるじゃん」


 結構時間かけて倒した甲斐があったな。ミクちゃん、ランベリオン、アリシアも戦闘を終えて戦闘値がアップしていた。


「おめでとうミクちゃん」


「ありがとう。これもここまでついて来てくれた皆のお陰だよ」


 そう言ったミクちゃんは戦闘値が8,000になって、とうとうZ級の領域に足を踏み入れていた。またラファエルを倒した事によって、ミクちゃんは自身の体が光によって再生するというパッシブスキルを手に入れた。要は俺の自動再生とそんなに変わらない。ただ、少し変わっているのがスキル名だ。


 そのミクちゃんのパッシブスキルは、光の化身というパッシブスキルになっていた。効果としては斬撃無効Ⅴ、物理攻撃無効Ⅴ、銃撃無効Ⅴ、アクティブスキル無効Ⅴ、アルティメットスキル無効Ⅴと同様の効果を得ると記されている。また、万が一体が破損した場合、瞬時に再生するというものだった。


「――ミク殿強くなりすぎじゃないか?」


「私とランベリオンでも勝ち目が0になりましたね。おめでとうございます」


「多分、アリシアさんは森羅万象アルカナがあるからチャンスはあると思うけどどうだろ?」


「通用すると思うぞ。ユニークスキルでも最上級のスキルだからな」


「我は全く勝てない――」


 と、呟きながらハンカチで涙を拭いていた。だからどっから持って来たんだって。


「ミクちゃんがどんどん天使と巫女っぽくなっていくな」


「もっと天使っぽくなっていくよ。それにほら! 私の天使の翼エンジェル・ウイングに攻撃効果が付与されたの」


「流石にそれはステータスに書いていないな」


「試すね」


 するとミクちゃんの天使の翼エンジェル・ウイングから、無数の光の羽根が発射された。しかも光速で飛んでいるので出鱈目な速さ。


「これはMPを消費する事無く発動できる攻撃だし、この光の羽根に当たった人の心が汚れている程、内から燃えて丸焦げになってしまうんだ」


「――なかなか物騒な羽根だな」


「す――凄いですね」


 ランベリオンとアリシアはそう言って唖然としていた。


「ラファエルを倒した事によって相当レベルアップしたな。ただ、戦闘値は大幅に上がっていないけど」


「それは仕方ないよ。でも創世の超光星ジェネシス・クエーサーと同じくらい強力なアルティメットスキルや、ナリユキ君が持っている黒絶斬こくぜつざんと同じくらい強い、アクティブスキルも手に入れたし満足だよ」


「アルティメットスキルは一撃必殺の弓。狩猟女神アルテミスの弓か――強くね?」


「でしょ? まあ、MPの消費量凄いんだけどね」


「いや、ミクちゃんのMP300,000,000っていう桁違いなMPになっているんですけど」


「本当にZ級になると桁違いだな」


「300,000,000というMP初めて聞きました」


 まあ、S級の二人からすると想像もできないよな。MPをあまり使わない戦い方をする俺ですら、MP量は150,000,000程ある。Z級になっただけで、ゲームで言うところの限界突破で大幅なステータスアップに繋がる訳だ。でもミクちゃんのMPは90,000,000くらいだったもんな。戦闘値が100が上がっただけでMP量が3倍以上ってどういう補正なんだ? そりゃあS級の人間がZ級挑んでも勝ち目ないわな。


「ランベリオンの戦闘値は7,300。アリシアは7,100か。大分強くなったな」


 俺がそう言うと二人とも嬉しそうだった。まあ、いくら格上を倒したからと言って、そうポンポンと戦闘値が上がる訳では無いからな。それでも二人ともアヌビスくらいの実力になったという事だ。何ならマカロフ卿より上じゃね?


「ナリユキ君。ボスの情報は掴んだ?」


「ああ。1,000のボスは俺達と同じ人間。コヴィー・S・ウィズダムに造られた人間では無いらしい。人間、龍族、魔族、森妖精エルフ族の血が流れているデアっていう女の子だ」


「何か訳ありっぽいね」


「コヴィー・S・ウィズダムの実験体という事か?」


「そういう事だな。このカルベリアツリーのダンジョンの魔物達を生むために、様々な魔物の血とDNAを仕組まれた可哀そうな女の子のようだ」


 俺がそう言うと三人は神妙な顔つきなった。


「倒すの?」


 ミクちゃんの問いに俺は首を左右に振った。


「さあ、先に進もう。お姫様をこのダンジョンから連れ出すぞ」


 俺がそう言うと三人はパッと明るい表情になり、「おー!」と気合い十分の声を高らかに上げていた。


 待ってろよデア。俺がここから連れ出してやるからな。

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