第432話 いざ、ゾーク大迷宮Ⅰ
「我々はゾーク大迷宮に潜り込もうと思うが、アヌビスの意見も参考程度に聞きたい」
「どのようなメンバーで行くのだ?」
「余、ナリユキ殿、アスモデウスは確定だな。あとはミク・アサギも入れたいところだ」
「私は全然構わないですよ! 行く気満々です!」
「結論、今のナリユキ閣下がZ級だろ? それならば問題無いと思う。それに以前も言ったが、ゾーク大迷宮の深部に存在する石版には、
「それは確かにそうだな。勝てる可能性があるのであれば、いずれにしても行くべきだな」
「でも、ゾークがどんな魔物かまでは知らないんじゃろ?」
「知る訳が無いだろ。最深部には誰も近付く事すらできないのだ。ゾークの顔を見た者はいない」
「成程のう。どんなスキルを使ってくるかも分からないんじゃな?」
「勿論だ。余と同じサイズなのか、はたまた巨大な魔物かすらも分からん。ただ、余が使っている
「うわあ。また随分と厄介なスキル使えるのね。まあ一番重要なのはユニークスキルだよな」
「そうじゃのう。Z級の生命体がユニークスキルが弱いという事は考えられないしのう」
「余のユニークスキルは自然に依存しているし、ナリユキ殿のユニークスキルは――そう言えば4つあるんだったな」
「ナリユキ君が
「そうだろうな」
ミクちゃんの分析にこの場にいる全員が納得した。
「そもそもだが、1年経たないうちにZ級まで危険度を上げたのはナリユキ閣下だけじゃないか?」
「え? そうなの?」
アヌビスの見解に俺がそう訊き返すと、
「我々龍族は生まれながらにZ級だ。成長したとは言えない。魔族に関しては人間と同じように元々のポテンシャルと成長という感じだからな」
「魔族で一番強いと言われているベリアルも元々はS級じゃからのう。長い年月をかけてZ級に君臨した。元々人間だったルシファーもそうじゃろ?」
「そうだな。ルシファーもとい龍騎士ジークフリートも余と高め合った仲だからな。彼も後発的なZ級だ」
「――何気に龍騎士の名前を聞くの初めてですね」
「ん? そうだったか?」
と、とぼける
「元からZ級だった者を除いては1年以内にZ級になった者はナリユキ殿が恐らく初めてだな。ミロクがどうかは分からないがな」
「正直、今関心があるのはミロクとコヴィー・S・ウィズダムだけだ。
「そうなるとコヴィー・S・ウィズダムの目的がますます分からないよな。一体何が目的で
「捕らえて
「――そんな人体改造しまくっている人間に
「意外と弱いな」
「其方は本当にいつも一言余計じゃな」
そんなやりとりをしているのを見て思ったんだけど、
「何か2人って仲が良いからお似合いだと思うのにな~」
そう呟いたのはミクちゃんだった。しかしそのミクちゃんの一言で、
「じゃれ合うのはその辺にして、ゾーク大迷宮に行くのであれば早急に支度しろ。余が連れていってやろう」
アヌビスがそう得意気に話すと俺達四人は目を合わせた。そして俺が「行こう」と言うと、アヌビスは満足気な表情を浮かべていた。
「ゾーク大迷宮で初クリアを拝むことができるかもな。大丈夫だ。ゾークを倒すことができれば、黒龍だって倒すことはできる筈だ」
「分かってるよ。必ずクリアをしてみせるさ」
俺がそう言うとアヌビスはベッドから出た。
「ぎゃふん!」
と変な声を上げながらアヌビスは転げてしまったのだ。らしくないから思わず笑ってしまったのは言うまでもない。
「嬉しくなって無茶するからだよ。まだまだ万全の状態じゃないんだから」
ミクちゃんはそう言いながら手を差し伸べると、アヌビスはその手を振り払って――。
「ええい! 早く行くぞ!」
と顔を少し赤らめながら医務室を出た。シンプルに恥ずかしかったようだ。
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