第416話 カルベリアツリーのダンジョン再々攻略Ⅱ
そこからは龍騎士が真っ先に俺に斬りかかって来た。数を潰すという目的であるならば、ミクちゃんやアリシアを先に潰した方が早いのに、何故俺から先なのだろう? という疑問を抱いたが、俺から狙ってくれるのはラッキーだ。相変わらずステータスが視えないから慎重にいかないとな。
相変わらず剣速は別次元の速さだ。仮に天眼を入手していなかったら何回死んでいる事か分からない。つか、そもそも斬撃無効のスキルが俺には付いているのに、首や胴体が切断される意味が分からん。
「そこだ!」
俺は龍騎士に対してカウンターを浴びせようとして、
「いい刀を持っているが、太刀筋はまだまだ甘いな」
龍騎士はそう言って俺の刀を受け止めた。そして俺はそのまま吹き飛ばされる。軽く振ったように見えるのに出鱈目なパワーだ。俺は
「瞬時に移動するスキルなんてあったか?」
そう言いながらの超反応をする龍騎士。俺の刀は再び受け止められたので、縮地を使って距離を取った。
攻撃をしようとしても黒刀でガードをされる。隙を突いた筈でも攻撃が通らないのでは意味が無い。さっき俺の
厄介なのは、どれだけ他の皆が強くなろうと龍騎士の足元にも及ぼない事だ。そもそも、戦闘値の差が激しすぎて大したダメージを与えることができない。また、ランベリオンの
「動かない方が良いぞ? 少しでも動けば首を刎ねる。全力でな」
龍騎士はそうミクちゃん、ランベリオン、アリシアに警告をした。その凄みのある眼力に、3人は思わずたじろいでしまった。ただならぬ
「そう脅しをかけて俺とタイマンするってか?」
「タイマン?」
「――1VS1の事だ」
「成程。そういう意味か。そうだな。流石に小娘2人のサポートで、
「強さを認めてくれたって事でいいのか?」
「ほざけ」
そう言って龍騎士が飛ばして来た斬撃は恐ろしく速かった。天眼でコマ送りになっている筈なのに、一般人が撃って来る斬撃と変わらないスピードで俺の目に映っている。つまり、先程放ってきた斬撃より速くなっている――底が知れないのは本当に恐ろしいな。
「天眼を持っている事だけはある」
そう呟くなり龍騎士は俺の懐に入って来た。これもまた物凄い移動速度だ。天眼を持っていなければ反応できていなかった。
俺は縮地を使って龍騎士から距離をとった。正直こんな戦い方では俺は全く攻撃できない――が、倒す糸口が見つからない。天眼を入手できても攻撃ができないのでは意味が無い。
「焦っているようだな。確かに天眼を手に入れた事で、俺の攻撃には反応できるようになったが、もう隙を与えないと決めた俺には攻撃が当たらないぞ?」
そう不敵な笑みを浮かべる龍騎士。
「ちとばかし、俺は反則みたいなもんを使っているのにな――」
「その変わったアーティファクトの事か?」
「――ノーコメント」
「……嘘が下手だな」
「うるせえ!」
俺は表情には出してはいなかったものの、龍騎士の全てを見透かしたような目で動揺したらしい。俺らしくないと言えば俺らしくない。
「確かに。瞬時に移動できる能力を貴様は持っていないからな。やはりその奇妙なアーティファクトがそうか。ならば潰すまでだな」
「いや――それは止めて欲しい」
と、俺が言ったにも関わらず容赦無く斬りかかって来る龍騎士。黒刀での連続攻撃はまるでミクちゃんの流星突きのようだ。つか、流星突きなんじゃねえか?
ヒュンヒュンと――風を斬る音と、避けている筈なのに傷を負う謎現象。まるで鎌鼬の中にでも入ってしまったような鋭さだ。龍騎士のパッシブスキルに、斬撃無効を無効化にする何らかのスキルがある筈だ。それこそアヌビスの――あれ? もしかして龍騎士は
そう考えると、益々ここで負ける訳にはいかなくなった。
そしてさらに考えると
なら俺が始めに取る一つ目の戦法はこれだ。
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