第367話 ヒーティスの案内Ⅱ
「威力が分からないなら、この辺りで試し撃ちするのも危険だよな」
「絶対にやめておいた方がいいよ」
ミクちゃんにそう言われたのでミクちゃんの方に視線を向けると、ミクちゃんは弓を持っていた。
「弓でも買うの?」
「うん。だって
「確かに」
ミクちゃんが持っていた弓は、天使の翼を模した白の弓だった。適性があれば戦闘経験を積むことで弓のパッシブスキルが付与される。カルベリアツリーのダンジョンに再度登るときに育成をしないといけないな。
「もう、なかなか良い弓を選んだのう。其方にとても似合っておるのじゃ」
「ありがとうアスモデウスさん」
ミクちゃんがそう言うとアスモデウスさんは「フフ――」と微笑んでいた。マジで魔王に見えないんだよな~。
「満喫してくれたようじゃのう。次はどこか行きたいところとかあるか?」
「そうだな。俺はこの国の鉱石を見たいかな」
「それならばいいところがあるのう。ゼパル案内するのじゃ」
「かしこまりました」
と、いう訳で次は鉱石屋さんに来た。世界各地にある有名な鉱石が置いてあり、
「結構なお値段するんだね」
「そうだな」
レアな鉱石ということもあり、どれも金貨1枚は必要な金額だった。特に、
「
「あんまり散財したら駄目だよ。ちゃんと
と、指摘を受けた。確かに俺は
「それならば、
「贅沢過ぎるなその兵器」
「破壊の石だけで十分じゃないかな――」
俺が感想を述べた後にミクちゃんがそう苦笑いを浮かべていたが、アスモデウスさんは「いいのじゃいいのじゃ」と呑気に笑みを浮かべていた。
「まあ保留にするか~」
「でも、色々な鉱石があって楽しいね」
「確かにな。マーズベルも掘り出したらまだまだ知らない鉱石とか出てきそうだな」
「そうだね~。でも破壊の石は結局まだ見つかっていないんでしょ? ロドベルトさんに探してもらっているって聞いたけど」
「そうなんだよな~」
俺がそう言っていると、アスモデウスさんが手をポンと叩いた。
「そう言えば、破壊の石には強力なパワーがあると聞いたことがあるぞ」
「ん? それが探す手がかりになるのか?」
「そうじゃ。とは言っても妾のように魔眼を使える者だけが探すことができるんじゃないかと思ってな」
「と言うと?」
「MPがあるじゃろ? それはこの世界においては動物なら皆持っている生命エネルギーみたいなものじゃ。その生命エネルギーを、S級クラスの生物並みに持っているのが魔石じゃ。じゃから、ここのお店には魔石が大量にあるのじゃが、破壊の石にも魔石に似た生命エネルギーがあるのじゃないか? じゃから、魔眼を使って探すことができれば、見つけられるのも時間の問題じゃと思う」
「確かに――それならレンさんに頼んでみようかな」
「そうしたほうが良いな。邪眼じゃなくて魔眼じゃからな。間違えないように」
「おう。ありがとう」
俺がそう言うとアスモデウスさんは満足そうな笑みを浮かべていた。
「そろそろ時間じゃな。アビスツリーに行くぞ」
「アビスツリー?」
「そうじゃ。さっき言っていたあの高い建造物の事じゃ」
「成程」
「楽しみだね。ナリユキ君」
「そうだな」
そこから俺達はアビスツリーに向かった。不思議とこの世界にはエレベーターは無いみたいだが、その代わりのものはあるらしい。
「エレベーターが無いけどこんなものがあったのか」
「凄い勢いで上に行くな」
俺達は何で上に挙がったのかというと、6つの石像がある中心に立たされた。そしてアスモデウスさんが何やら別の世界の言葉――多分魔族語を話すと、足元が光り始めて六芒星の陣を展開した。ミクちゃんの一部のスキルもそうだけど、一部のスキルは魔法陣を展開して発動、または作動することがある。
今回もエレベーターという現代的なものではなく、スキルという新しい概念がエレベーターの代わりとなった。そして、あっという間に展望へと到着した。
このアビスツリーには展望に登ることができるスキルのエレベーターが10箇所あるらしい。
そして、展望に登るとヒーティスの国が一望できた。この国は人が住んでいるところが極端に少なく、ほとんどが荒野となっていた。そして、南側はアスモデウスさんの城がある方角。その方向になると、青い雷がたくさん落ちているのが確認できた。東側には山がある――。
「もしかしてあの山は
「そうじゃ。よく分かったのう」
「火山の火口っぽいな~って思っていたから」
「正解じゃ。ところでどうじゃ? ヒーティスの景色は?」
「なかなか面白いな。青い雷がずっと落ちているんだもん」
「そういう場所じゃから仕方ないのう」
「ただ、こうやってやっぱり景色を一望できるのはいいな~」
俺がそう言うと、アスモデウスさんは鼻の下を伸ばした。顔でえっへんって言ってる。
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