第337話 創世についてⅡ
「結論から言うと
「カルディアから手に入れた情報は間違いなかったという事ですね?」
私がそう言うとナリユキ閣下は「ああ」と応えてくれた。
「ただまあ、新しい情報としてはストーク・ディアン公爵には、同じアルファベットのコードネームを持つ部下がいるようだな」
「しかし、そのコードネームは何が由来で付けられているのでしょうか? 単純にファーストネームから取っているのか、セカンドネームから取っているのか。それとも構成員が何らかの意味を持たせて自分達で決めているのか――名前の意味が分かれば特定しやすいと思うのですが……」
「まあ、流石にコードは名前の意味までは知らなかったが、元々ログウェルを創ったのは
「神か……そう言えば昔そんな呼ばれ方をされていた
「え、知っているんですか?
ナリユキ閣下が
「2,000年程前の事だが――」
「2,000年前って確か、四龍と龍騎士伝説も2,000年程前じゃなかったですか?」
「そうだが?」
「2,000年前に色々と起きていますね――何かもう凄いとしか言葉が出て来ない――語彙力……」
と、何やらナリユキ閣下はゲッソリとした表情をしていた。
「神ですか……我々はその話は聞いたことがありませんでした」
「それはそうだな。この世界は大きく分けて、余のオストロンがある東の国と、マーズベルとカーネルのような西の国の2つに分類されている。勿論、レンファレンス、ログウェル、アードルハイムも西の国に分類されるな」
私はこの時点で察した――ナリユキ閣下、カーネル王、クロノスの表情を見る限り彼等もその意味が分かったようだ。
「つまり、ログウェルは西の国の状況を知るために
「単純に考えればそうだろうな。如何せん、余はその時、黒龍との一件で、神と呼ばれていた人物の情報はそれほど知らないのだ」
「他に知っている人はいないのですか?」
私がそう問いかけると、
「そもそも、東も西も黒龍が暴れたせいで大半が亡んだからな。アスモデウスもその時は魔界にいたから、東の国でも知っているのはごく一部ではないだろうか? それこそヴァース島で情報収集するほうが一番いい」
「成程――しかし今ヴァース島にはナリユキ閣下の配下達が情報収集をしております。であれば、ここは私達が行くべきではないかと。ログウェルの国の命令で東の国の土地勘は少しはありますので」
「なんかあまり気持ちのいい情報源じゃないな」
カーネル王がそう嫌味を言ってきたが気にしないでおこう。
「いや、それはまだ急がなくてもいい」
「そうですか」
「神と呼ばれているくらいだ。神と呼ばれている人なんか、この世界では今のところ
「私に奪った
「却下!」
「まずは俺達が出来ることはストーク・ディアン公爵の足取りを追う事が最優先だろうな。ヴェドラウイルスを何処で製造していたのか? 協力者は
私はその発言に驚いた。あのアヌビスという化物がいながら、ストーク・ディアン公爵が逃げることも計算に入れている――。
「あの怪物から逃げ切ることができるのって世界でも限られていると思いますが」
クロノスがそう発言するとナリユキ閣下は「確かにそうだ」と頷く。
「しかしあの
「――またあの老人か――」
「カルベリアツリーのダンジョンの魔物の生みの親だからね――確かにあの人が関わっているなら
「ルミエールの言う通りだ。だから例えアヌビスがいたとしても逃げられている可能性が高い。流石にアヌビスが負けることはないだろうけどな」
ナリユキ閣下のその話を聞いて、この事件はかなり沼にハマってしまっている気がしてきた。マーズベルにある破壊の石を狙っている事も考えると、
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