第281話 ヴァース島の鍾乳洞Ⅱ
「そうだといいわね。でもどうやって解読する気?」
「それは本で探すか
「アテはあるの?」
「無い」
その答えに私は思わず溜息が出た。何て無計画な人なのかしら――。そう思っていたときだった。
「人の気配だ。後ろから来るぞ」
ランベリオンは鼻を利かせてそう言うと、私の方に振り返った。
「え? 何?」
「ミユキ殿――後ろを見るんだ」
ランベリオンは冷や汗を垂らしながらそう言った。
ランベリオンから出ている異様なまでの警戒心――私は後ろを振り向いてその歩いて来る人物を見た――。そこにいたのは白いローブを身に纏った金色蛇の仮面の人物だった。声からすると男だろう――。
身長は200cmくらいあるのではないだろうか?
「君達はマーズベルから来た侵入者だな? 最近我々の事を嗅ぎまわっているそうじゃないか」
「貴方は――
「ほう……報告の通りだな――ジャック。ここに連れて来てくれた事を感謝する」
「勿体なき御言葉です。
その言葉に私とランベリオンは顔を合わせて驚いた。
「まさかジャックさん――」
「ジャック殿――」
私とランベリオンがそう訊くとジャックさんは冷酷な目で私達を睨めつけて来た。
「この島の秘密を知っている者を排除しなければならないのだ。だからこの場所に連れて来た。そしてここは
「騙したのか?」
「騙されたのが悪い」
ジャックさんはそう言って
「それは我等に対する敵対心という事で良いな?」
「元よりそのつもりだ。惜しいな――貴様等が
「探していたのは演技だった――という事ね?」
「そういう事だ」
マズいな――ジャックさんでも相当強いのにこの
「ほう――その緊張感。私の力量が分かるのか。ジャックよ――オーラはそんなに出ているのか?」
「抑えることはできています。この女が敏感なのでしょう」
「ランベリオン・カーネルにも警戒はされているがな。まあ良い」
「貴方は一体何者なの?」
「それで答える馬鹿に見えるか? 知りたければ力づくで吐かせてみるんだな。まあそれも無謀な夢だが」
そう言って
「遅いな」
「なっ……!?」
私はいつの間にか両手を拘束されていた。これもまた義手だった。右手を見るとまだ義手があるので左手なのだろう――。信じられない力だ――!
「放せ!」
私がそう必死に抵抗しているとランベリオンが「ミユキ殿―!」と近付いて来た。しかしそんな事をしてしまえば――!
「ランベリオン! 後ろ!」
私の声も虚しくランベリオンは後ろからジャックさんの槍で頭を殴られた。硬質化があるにも関わらずランベリオンは一撃で沈められたのだ。
「ミユキ・アマミヤ。確か転生者だったな。それにアルティメットスキルは
そう言って
「どうだ? 私の
そういう事だったのね? 通りで力が入らないわけだ――。
「こちらとしても
「ぐっ……」
何とかしなければ――そう思っていた時だった。
「残念だったなミユキ・アマミヤ」
私はその場で床に倒れ伏せてしまった。意識がだんだんと薄れていく――。この男も
「考えても無駄だ」
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