第220話 冥府の化身Ⅱ
成程――面倒臭いスキルをいっぱいお持ちで――。ユニークスキルは冥府の化身っぽいな。でも、一番の疑問は冥魔族って何なんだ? 魔族とはまた別の種族ってことだよな? それなのに魔眼が使えるのか? もう訳分からん。
「貴様がナリユキ・タテワキだな。人間なのに7,000も戦闘値があると聞いてな。一度戦ってみたかったのだ」
「てことは、マカロフ卿の味方ってわけではないのか?」
「味方というか協力という感じだな」
「何かややこしいな。何で協力する必要があるんだ?」
「それは余に勝てば答えてやろう。さあこれで貴様は余と戦いたくなった。戦うしかないと思うのだが?」
――何この魔物。めちゃくちゃ好戦的だけど、別に話は通じるから圧倒的な悪って感じでもないな。あのワイズってやつのほうが相当ヤバい。戦闘値は同じだから俺が銃撃でどれだけダメージを与えられるかが鍵だ。
「分かったよ。俺が勝てばいいんだろ?」
「ああ。しかし余は貴様を殺す気でいくぞ? 残念ながらそれがマカロフ卿との約束だ」
「あ――そ――」
やっぱり話し合いで解決するのは無理そうだな。相手は殺す気だから本気でかかってくること考えると、
そう考え事していると――。
「行くぞ」
そう言ってアヌビスは俺に向かって杖を突いてきた。一度避けたと思えば連続で杖を突いてくる。俺からすれば、龍騎士の剣速を見ているから余裕で避けることはできるので――。
「
すると、アヌビスの身体は見事に爆発した。俺はすかさずAA-12を取り出して重厚な金属音と共に強力な威力を誇る散弾をぶち込む。手を止めている暇はない。俺はAA-12の弾が無くなるとAA-12を消して、レミントンM870ポンプアクション式ショットガンを撃った。狙撃手のスキル効果で勿論ヘッドショットだった。
頭に散弾をぶち込んだが脳みそ吹き飛ぶなんてことはない。AA-12の影響で体はボロボロだが、脳が残っていることにより、体中風穴だらけで、原型を留めていないアヌビスはみるみる元通りになる。
「今のは効いたぞナリユキ・タテワキ」
アヌビスはギロリと睨めつけてそう言い放った。殺すことはできないだろうが、ダメージは明らかに与えられている。先程浮かべていた不敵な笑みも今は消えている。
「今度は余の番だ」
そう言って真紅の瞳でギロリと睨まれた後に手を向けられると、俺の意志とは反して勝手に体が注意に浮き始めた。ヤバいこれはマズい――。
「
アヌビスがそう言ったと同時に、俺はギルド本部の建物の方へブンと投げ込まれた。そう思っていた刹那すでに壁に激突していたようだ。衝撃は走ったが痛くはない――。そう思い立ち上がった時だ。
「何だこの光は!?」
見たこともない禍々しい黒い光が俺の視界を覆っていた。邪悪さはあるがどこか異様なまでに静か。キイーンという音やゴゴゴという音がするもんだがこれにはそれが無い――。
「
俺はすかさずスキルバリアーを展開した。威力はなかなか強いが空いている右手は使える。俺はデザートイーグルを取り出してスキルバリアーで
「いない――!?」
「ここだ」
左の方から声が聞こえたと思った瞬間にはアヌビスの裏拳を頬に喰らっていた。
「なっ……!?」
俺は地面にひれ伏すとアヌビスは容赦なく俺の背中を蹴り続けてくる。痛ぇ……。この世界に来て初めて物理攻撃が効いている。俺は常時
「どうした人間。
その通りだよ全く! 俺にもそのスキルくれよ! そう思って右手を金色に輝かせた。
鑑定士で見れていても、金色に輝く手で~とは書いていない。なので、アヌビスは警戒心が強まった為蹴りが緩んだ。
その瞬間俺は左足でアヌビスの片足を振り払った。
「な――!?」
俺はすかさず立ち上がって大きくジャンプしてロケットランチャーを出す。
「喰らえ!」
体勢を崩しているアヌビスにロケットランチャーのロケット弾は見事に炸裂。爆炎と耳をつんざくような轟音は周囲を驚かせている。俺は耳栓ついているから大丈夫なんだけどね。
でも奴はこんなものではダメージはまだまだ与えられない。地面に到達するまでのほんの数秒間はXM-556マイクロガンに変えてひたすら撃ち続ける。FPSなら倒れている相手に対して撃っているからただの死体撃ちだぞこれ。
そのブゥゥゥンという独特な音を発しながら放たれる大量の弾。普段のガトリングとは違い低反動がウリなこの武器は1分間で4,000発という恐ろしい
そう思っていたが――。
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