第218話 クセの強い冒険者Ⅲ
「何だ奴は? どうなっていやがる?」
唖然としながらも口を小さく開きそう呟くマカロフ卿。
「俺を舐めているだろ?」
カルディアはそう言ってワイズの頭に上段蹴りを入れた。
ワイズはそれを喰らってよろめいているが、そんななかでも腕があっという間に再生していた。
「頑丈な仮面だな。ヒビすら入らないのか」
「テメェ……ふざけた真似をしやがって」
ワイズはそう言いながら先程の蹴りで切った口を手で拭う。
「俺様を怒らせたら後悔するぜ?」
「後悔? この俺が?」
カルディアが不敵な笑みを見せた途端、カルディアの身体はズタズタに引き裂かれた。
「一体何が起こっているのでしょう?」
「奴の
「成程――なかなか厄介ですね」
俺とクロノスがそう会話をしていたときだった。俺の
キイン――という金属音だけが響く。銃弾はどうやらガードされたらしい。
「完全に気配は消したいたはずだがな」
そこに立っていたのはあの忍者男だ。名前はどうやらレイというらしい。
「その装束――俺の故郷の忍者みたいなだな」
「ほざけ」
そう言って投げて来たのは何とクナイ! これはますます忍者だな。俺は投げられてきた3本のクナイをショットガンで叩き落した。残念ながら俺が撃つ全ての銃の威力は規格外なんだよな。
「ふざけた真似を――!」
レイがそう言ってとびかかって来たところだった。レイの小太刀を俺の前に立って受け止めたのはスカーだった。
「依頼主には手は出させん」
スカーがレイの小太刀を力任せで押しのけるとレイは宙に舞った。スカーはこの
「どこに行った?」
宙にいたのはどうやら残像だったらしい。直撃したかとも思えば斬撃はそのまま素通りをし、ギルド本部の入口に直撃して、建造物の一部を抉っただけだった。
「なかなかの相手のようだな」
「ええ」
そう声がしたので見てみると、奴はいつの間にかマカロフ卿の隣に移動していた。
「連中なかなか手強いですよ。ナリユキ・タテワキが強いのは分かっていましたが、あんな味方がいたのは予想外でしたね。特にワイズと戦っているあの男――一体何者なんですか?」
「知らん。メリーザ。奴の戦闘値は?」
マカロフ卿がそう言うと突然姿を現したメリーザ。
「4,6000ですね」
「チッ――何らかのスキルでフェイクをかけていやがるな」
やっぱりメリーザが見ても同じ結果なのか。では実質の戦闘値って一体――。
俺は激しい攻防を繰り広げているカルディアとワイズを見た。この世界ではなかなか見ることが出来ない肉弾戦だ。拳、蹴り、ガードの基本的な3つの
戦闘値は俺のほうが高いはずなのについ魅入ってしまう戦いだ。
「失せろ」
ワイズの腹部にカルディアの
メリーザが見えない壁を出すと壁がワイズを受け止めた。
「死ね!」
ワイズがそう言うと目がギラリと光ったように思えた。カルディアは咄嗟に上にジャンプをすると、カルディアが立っていた地面のタイルが抉れて、破片が無造作に吹き飛んだ。本当に色々なバリエーションがあるな。
「だりぃな」
カルディアがそう言ってさっきワイズがいた場所を見ると、ワイズの姿はそこには無かった。
「どこだ?」
「カルディア上だ!」
「遅せよガリガリ銀髪」
ワイズはそう言ってカルディアの頭にかかと落としを喰らわせた。当然カルディアは数十メートルの高さから地面に叩きつけられた。
「死ね!
俺はその瞬間足が動いていた。このエネルギー量はカルディアでもマズいのじゃ――。
「大丈夫だ。見ておけ」
俺は動くことができなかった――後ろを振り向くとカリブデウスが俺の肩を掴んでいたらしい。
「どういうことだ?」
「見ておけば分かる」
ワイズの手から放たれる、邪悪で巨大なエネルギー光はそのまま地面にいるカルディアの方へ――かと思いきや、
マカロフ卿達は当然メリーザの防衛スキルによって身を守られ、
「アクティブスキルなんかより、俺は肉弾戦の方がダメージが入るぞ?」
そう言いながら立ち上がって首を左右に振りポキポキと鳴らすカルディア。頬が少し切れていることからさっきのかかと落としで負ったダメージのようだ。
「どうやら口だけでは無いらしい」
「ほざけ仮面野郎」
カルディアはそう言って前髪全て後ろへと流した。目が見えている方が格好いいのにな――。
「男に格好なんざ言われたくないんだよ。気が散る」
俺をそうやって睨めつけてくるカルディア。そうかコイツ心が読めるんだった――見えているスキルも出鱈目だし本当にどういう原理か分からない。
「第2回戦開始だ」
カルディアはそう言ってワイズに向けて掌を向けた。
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