第181話 カルベリアツリーのダンジョン再攻略Ⅲ
ミクちゃんとランベリオンの怒涛の剣技が続いた。だが、不思議なのはニーズヘッグはあの巨体で俊敏な動きで、2人の剣技を躱していた。
「温いな」
ニーズヘッグはその長い尻尾をぶん回して2人を吹き飛ばした。
「ミクちゃん! ランベリオン!」
左にミクちゃん。右にランベリオンが吹き飛んで何とか空中で体勢を立て直す。
「大丈夫だよ!」
「何とかな」
2人はそう言っていたので、大丈夫なようだ。外傷もないし、ミクちゃんは傷が出来たら、自身に
でも不思議だ。確かにレベル差は凄まじいが、
「もしかして天眼のスキルじゃないでしょうか?」
アリシアの言葉にハッと気付かされた。奴の戦闘値経験値が凄まじいのは分かるが、言われてみれば剣技をできるだけで目で追っていた。また、最小限の動きにするために、ほんの少し動くだけで避けている――。
「まさか、全て見えているのか?」
「恐らくそうです」
めちゃくちゃ面倒くさいなこの龍族。
「て、事はやっぱりアリシアが、ニーズヘッグに触れて、全てのスキルを無にする必要があるな」
「そうですね。なんだかんだベルゾーグ様と同じようなスキルですから」
「問題はどうするかだな」
ヤバい積んでいる気がする。それに
「やっつけで試してみるか」
俺がそう言うとアリシアは怪訝な表情を浮かべていた。
《各位。アルティメットスキルを放つ。新技をな》
俺がそう言うと、ミクちゃんもランベリオンも理解して俺達の元へ一旦戻って来た。
「また作戦会議を行うのか? 存分に行うがよい」
と、ニーズヘッグは口角を吊り上げている。
「ん? 何をやっている?」
俺が右手をずっと上げていることに違和感を覚えたようだ。
「
突如としてニーズヘッグを飲み込むような大きさの陰。その邪悪で禍々しい巨大なエネルギー玉は、ニーズヘッグを押し潰そうとしていた。
「グアアア……!」
「
アリシアが咄嗟にかけてくれた
「正直、こんなに大きい
と、引いているランベリオンであった。アリシアは――。俺に対して好感度がさらに好感度が上がったようだった。
ピカッ!
と、紫色の閃光がこの天空のフィールドを包み込む。
同時に訪れたのは不気味な程の静寂――。
しかし、刹那には耳をつんざくような轟音が俺達を襲った。あまりにも眩い光に俺達全員は目を瞑っていた。当然、一体何がどうなっているのか分からない。
音が鳴り止み、視界を襲っていた眩い光はどうやら無くなったようだ。俺はゆっくりと目を開けた。
すると、俺達が来たときにあった四方の鳥居と白い城は当然崩れていた。そして、フィールドの中央には大きな穴ができていた。
「うわあ。もしかして扉も破壊しているとかないよね」
「それだったら今までも何度か壊しているだろ」
「あの、ナリユキ殿? 我の
「え? 理解しているつもりだぞ?」
いや、流石に頑丈なんだしそんなことは無いだろ。にしても――。
俺は穴を覗いてみた。半径20m程の穴だが、これの何がえげつないかってカルベリアツリーのダンジョンは、めちゃくちゃ頑丈なのにこの威力だ。地上で撃ったら、小国なら吹き飛ぶだろうなコレ。
「あ――」
俺は思わず間抜けな声を漏らしてしまった。まあ当然と言えば当然か。
アイスグレーの穴が開いてボロボロになっている巨翼を羽ばたかせて、ゆっくりとニーズヘッグが上がって来たからだった。いや、まあ部位破壊が出来たと思えばそれでいいか。
「化物ですね」
アリシアがそう呟くと、ミクちゃんもランベリオンもコクリと頷いていた。
「な……なかなかやるではないか」
「そらどうも」
ぜえぜえと息を切らしているニーズヘッグ。
「でもまあこ唸ってしまった以上吾輩が有利になる」
ニーズヘッグはそう言うと緑色の光に包まれた。なんだ?
そう思った時だった。ミクちゃんが咄嗟にニーズヘッグの右翼に斬りかかっていた。
「風林一閃です」
アリシアさん解説有難うございます。居合抜刀しているところ見てなかったから何のスキル発動したか分からなかったわ。
絶対切断。字の如く硬質化など無関係にニーズヘッグの左翼を切断した。
断末魔を上げているニーズヘッグは大きな隙が出来た。
「今だ!」
俺が手からロケットランチャーを出してニーズヘッグにぶっ放して直撃すると、さらに大きな断末魔を上げる。
アリシアは瞬時にニーズヘッグの背後に回り込んで、ランベリオンは正面から向かい撃った。
アリシアが手に触れると、ユニークスキルの
そしてランベリオンが正面から斬りかかろうとした時だった。
ランベリオンがこの場から消えてしまった――。
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