第154話 罰Ⅱ
俺が見たのは、ノアVSマカロフ卿。ランベリオンVS
「これまた酷いな。そんでノアが何でマカロフ卿と戦っているかも分らんし、ランベリオンに至っては相手が
「メリーザ!」
アリシアがそう叫ぶとメリーザは、ランベリオンの刀を受け止めていたが手が緩んだ。
「アリシア――」
メリーザはそう呟き、アリシアを睨めつけていた。ん? 何か訳ありなのかな?
出で立ちはというと、金色の長い髪に。白く凛々しい顔立ちで、翡翠の首飾りをしている漆黒のドレス姿は、悪魔に魂を売ってしまったのか? と思わせる。マーズベルにいる
「隙あり!」
ランベリオンがそう言うと、メリーザはそのまま刀を受け止めてしまった。この時点で
「何!?」
刀を受けたはずのメリーザは平然としていた。そしてランベリオンに向かって放たれるスキル。
「
ランベリオンは零距離でそれを受け止めることになるが、ダメージ軽減Ⅴがついているので、ランベリオンが受ける、パッシブスキル、アクティブスキル、アルティメットスキルのダメージは50%カットされる。それに硬質化Ⅴも付いているから、ランベリオンにはさほどダメージが入らない。が――。ランベリオンは俺が来たので、一度メリーザから距離をとった。
「ナリユキ殿! 無事に成功したようだな!」
「ああ。それにしても面倒くさい相手に絡まれているな。まあマカロフ卿がこんな一瞬で、ここに姿を現した理由は分かったよ。あのメリーザっていう
「ナリユキ・タテワキだと!?」
マカロフ卿もこっちに気付いたようで、ノアの顔面をぶん殴って吹き飛ばしてこっちを見た。このロシア人本当に強いな。ガープから知性を共有してもらっていなければ、ノアとは互角の戦いだったしな。
「ナリユキ・タテワキ――。マカロフ卿! 聞いていた話と違います! 念波動の数値が6,200です!」
「6,200だと!? そんな馬鹿な数値――」
マカロフ卿はそう言って目をしかめるなり、何か納得した表情を見せた。あれ? マカロフ卿って鑑定士Ⅵ持っていないよな?
「何でガープをお前達が攫っているんだ? いや、もう息は無いのか。それでお前が
どんなメタ考察だよ。ビビるんだけど。
「まあ、パワーアップして、記憶を奪ったり共有したりもできるようになったんだがな。マカロフ卿、アンタはガープがこういう結末になることを予測できていたんじゃないか? ガープの記憶に出てきたアンタは、魔族のアンタを帝国軍に入れて、第一騎士団の団長の座まで譲るなんておかしな話だ。強さを買われていることは分かるがな――。と言っていた。これはどういう意味なんだ?」
すると、マカロフ卿はふうと溜め息つきながら葉巻に火を付けた。
「そのくらい自分で考えろ。ただ、死体を運んでくれたのは感謝する。あと――」
すると、マカロフ卿はレンさんを見るなり。
「レン・フジワラ! お前はジークンドーの腕をさらに磨くだけで、まだまだ実力は上がる! 魔眼を手に入れたからってつけあがるんじゃないぞ! 次会った時は殺されると思え!」
マカロフ卿がそう言うと、レンさんは「怖いねんけど」と一言。
「待て。この状況で逃げれると思っているのか?」
「そうですね。確かに、その後ろにいるのはアードルハイム帝国軍に捕まっていた人々でしょうか? そんな大勢いてはこちらには勝ち目がありませんが――」
メリーザがそう言うとマカロフ卿はニッと笑っていた。
「ナリユキ様、何か凄い羽音が聞こえます」
戦っている兵士の怒号や、気合の声でそんなものは全く聞こえない――。が、異常聴覚を持つメイが言うのだから間違いない。
「来ました上空にいます!」
俺が見上げるとそこには驚くべきものが飛んでいた。
「何だあの鉄の小さい飛行船は?」
「あんもの見たことないですね」
ランベリオンがそう言った後に、アリシアが首を傾げながらそう言っていた。しかし、俺とミクちゃんと、レンさん、アズサさんなら分かるはずだ。
「オスプレイだ」
気付かなかったが、座って体力を回復させていたクリンコフがそう言ってくれた。
「あんなもんどうやって――」
「私の主要顧客はたくさんといるのでね。当然だと思うが?」
オスプレイの存在を知らないこの国の人々は、その謎の物体にくぎ付けになっていた。攻撃をすることも無い。ただ、得体の知らない何かを知ろうという、知的生命体の本能が出ていた。
扉が開き現れ出て来たのは小さい少年のようだった。その少年が飛び降りて来て、顔が認識できる程の高さになったときの事だった。
眩い光がこの一帯を覆った。
視界が完全に奪われたと同時に、耳にモスキート音のような高音の周波数のようなものが耳を刺激した。
耳栓を持っている俺でも容赦が無いものだった。
平衡感覚を狂わされているようだ。ベルゾーグが人工
「ミクちゃん!」
「ナリユキさん!」
俺はミクちゃんが隣にいることを確認できたので、抱き寄せて離れないようにした。
数十秒間という時間だったが、体感にしたら分単位にも思えたこの現象――。
俺達の目が回復した頃には、マカロフ卿軍は誰一人としていなかった。勿論、マカロフ卿軍の倒れていた兵士も姿を消していた。
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