第115話 帝国軍支部基地潰しⅢ
「この国の平和だと? よそ者が何を偉そうに。貴様等どこの国の冒険者だ」
「それは伏せておくわ」
「何? それでこっちには一方的に情報を開示しろと言うのか?」
「そうよ」
「私達が見てきたなかでは、第3騎士団は民間人に酷い仕打ちを与えております。部下に何故そのような教育をされているのですか? まるでこの国の民間人は、帝国の奴隷ではありませんか」
すると、レヴァベルの眼光は鋭くなった。
「あ? 奴隷だよ。俺たちは皇帝陛下に命を捧げている。そしてこの国の為にこの命を常に捧げ、いつも死と隣り合わせなんだ。しかし、民間人達は何の付加価値も生み出してはいないではないか」
「それは貴方達が取り上げているからでしょう? そもそもアードルハイム皇帝の施策が駄目なのでは? 国民に信頼されていない皇帝などさっさとこの国から追放すればいい」
「それは皇帝陛下に対する侮辱と捉えていいのだな?」
「好きな解釈をしてもらっても構わない」
「皆の者聞いたか! こいつ等は我々の国主を侮辱した! 故に死に値する! 奴等を殺せ!」
「オオオオオー!」
気合だけは十分だ。しかし、彼等は本当にアードルハイム皇帝の為に命を捧げてもいいと思っているのだろうか? 本当は追放或いは死刑台に送りたいと思っているんじゃないか? それを晴らすためにフィオナさんのような魔物を捕らえては好き放題にしているのではないだろうか? それを晴らすために、民間人にマウントをとっているのではないだろうか? そう――。ありもしないifを沢山考えさせられる。
「ねえアリスちゃん。
「もう使っていますよ。私が与えられた使命は真偽を確かめること。で、あれば使っておいた方がいいですからね」
「ありがとう。あとでどうだったか聞かせてくれる?」
「勿論そのつもりですよ」
「何をごちゃごちゃ言ってやがる! やれ!」
レヴァベルがそう命令すると、レヴァベル以外の帝国兵が一斉に襲い掛かって来た。
ノア君とアリスちゃんが構えたので、私は腕を伸ばして、手を出すなサインと出すと引き下がってくれた。
私はレイピアをアリスちゃんに預けて刀に切り替え、
そしてそのまま、レヴァベルの首元に刀を突き出す。
「無謀な戦いをまだするつもり?」
レヴァベルはグッと唇を噛み締めた後、剣を放り出し両手を挙げた。
「降参だ」
「これから不当な税を徴収しないと約束してほしいの。この紙にサインを書いてくれるだけでいいわ。それと捕まえた人々を少しずつ解放してほしいの」
「まず、不当な税を徴収しないことは約束をしよう。担当している区域は何をしてもいいと命令を受けているからな。しかし、2つ目は無理だ。それは奴が証明してくれている」
「ラングドールさんより前の騎士団長、カレス・ロビンソンさんの事ですか?」
「――。そうか、そう言えば報告であの爺のところで貴様等に遭遇したと聞いたな。ということは話は知っているんだろ?」
「ええ」
「元々、俺は魔物が嫌いだから解放する気はないが、今のような状況になっていても無理だ。自分の命をみすみす他人の為に捧げない。俺達は皇帝陛下の命なのだ」
「何故そこまでアードルハイム皇帝に従うの?」
「それは俺の口からは言えない。それを俺が言ったら死ぬことになっている」
もしかしたら、レンさん達から肝心な報告を受けていないんじゃ――。いずれにしても、レンさん達とあとで連絡をしよう。アリスちゃんの念話でも届くはずだ。
「アリスちゃん。彼が言っていることは本当?」
「本当ですね。どういう仕組みかは分かりませんが、死ぬということは本当らしいです」
「何故本当か嘘か分かるんだ? 俺が出まかせ言っているとは思わないのか?」
「アリスちゃんというのはあの女だった。唯一スキルが確認できる奴だ。予測ができないスキルと言うと、ユニークスキルの
レヴァベルはそう言いながら重い溜息をそう吐いていた。
「それでもういいのか?」
「ええ。できればラングドールさんに会わせてほしいんだけど」
「会わせるだけなら構わん。ただし帝国軍の基地にいた場合諦めろ」
「分かった。それでいい」
「後俺からいいか?」
「ええ。何?」
「普通に話を進めていたが俺の部下達を治してやってくれないか? できるだろそれくらい」
レヴァベルがそう言うと私は思わず「あっ」と声を漏らした。
「
祈りを捧げながらそう言うと、倒れていた帝国兵は次々に起き上がっていった。
「広範囲の
レヴァベルがそう驚いていると、帝国兵は次々に立ち上がっていく。
「騎士団長様――。我々は一体」
「くそ! まだいたのか!」
「喚くな。俺は負けを認めたんだ。おとなしくしてろ」
「そうですね。この
「別格なはずだ」
「それでは案内してもらうわよ。念話を使える人はいないの?」
「いない。近くまでいくしかない。約束通り案内しよう」
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