第33話 ノアのスキル

「いや、めちゃくちゃ速いな。この調子じゃ一時間もありゃ着くぞ」


「でしょ? ワイバーンは元々空中の移動速度が速いけど、ナリユキとミクを乗せたら遅くなる。振り落とされちゃうからね。そこでボクのユニークスキルとアクティブスキルを掛け合わせると、ランベリオンは飛ばすことができるわけさ」


「そうだな。サンキュ」


 えへへと照れ笑いをしているのでやはり子供だ。つか純粋無垢なだけではある。お蔭でうちのミクちゃんは母性本能くすぶられまくっている。


 と、まあ余談は置いておいて。普通なら、ジャンボジェットのようなスピードを出せば、俺達は振り落とされるし、風が凄くて不細工な顔にもなる。そして会話なんぞ出来るわけない。まあ俺達も音速で移動できるから、人体への影響は特に無いのだが、こうやって普通に会話ができるのは、ノアが時間を遅くさせるような錯覚を起こさせているからだ。俺の読みは恥ずかしながら外れていた。時間を操るのではなく、体感時間が早く感じたり遅くなったりする錯覚をしているらしい。


 だから、ランベリオンの移動速度は実際に速いままだが、俺達の体感速度は遅いので、周りの景色が遅く動いているように錯覚している。そして、車酔いならぬワイバーン酔いもしない。


 そして、もう一つ。ノアを仲間にできたからかどうか、仕組みはよくわからんが、ノアのステータスが鑑定士で視ることができるうえに、スキルの詳細が視れるようになった。




■名前:ノア

■性別:♂

■種族:?族

■称号:700層目の殺戮者

■勲章:なし

■MP:10,000,000

■強さ又は危険度:S


■パッシブスキル

鋼の体Ⅴ:打撃、斬撃、スキル系の攻撃は、自身へのダメージを95%カットする。

異常聴覚Ⅴ:人族の10,000倍の聴覚を有する。

痛覚軽減Ⅴ:痛みの感覚を90%カットする。

究極の阻害者アルティメット・ジャマー:アクティブスキル、鑑定士の効果を完全に無効化する。


■アクティブスキル:重量操作ウェイト・カラー:目標物と認識した物体を一律で10kgとする。

不死の体イモータル・ボディ:死ぬことができない肉体。

魔物使いビースト・テイマー:半径1km以内の魔物を、上限無く従えることができる。

火事場の馬鹿力フル・パワー:身体能力を500%アップする。



■ユニークスキル:時間の錯覚タイム・イリュージョン:自身を含めたターゲットの体感時間を早い又は遅いと錯覚させることができる。


■アルティメットスキル:方舟ノアズ・アーク:大きさ自在で、外部からのスキルを無効化する方舟を出す。ただし、船内でのスキル、自身のスキルは有効化とする。

殺戮の矢ジェノサイド・ジャベリン:着弾地点から半径5km以内の生物の生命力を奪い、死に至らしめる。




 まあ、ノアの特徴としては近接戦闘向けではある。しかし殺戮の矢ジェノサイド・ジャベリンとかいう大量虐殺できるアクティブスキルを保有している。なんかめちゃくちゃ極端。で、ノアは気付いているか分からないけど、重量操作ウェイト・カラーが物凄く強い。俺だったら石コロを10kgにして、火事場の馬鹿力フル・パワーで身体能力を向上させて投げつける。これで相手大体死ぬだろ。


 そして、気になるのは方舟ノアズ・アークだな。俺の創造主ザ・クリエイターで重火器を持ち込んで、無敵の要塞を作ればいい。やべ、めちゃくちゃ強くね? まあそんなことしなくても俺の創造主ザ・クリエイターはコスト無しのアルティメットスキルみたいなもんだ。


「それにしても凄いよね。外の世界はこんな風になっていたんだ。みんなが暴れたのも分かるな~」


「確か、ダンジョンの魔物が暴れたんだよね?」


「そうそう。ダンジョンの階層のボスは呆れていたよ。実際このランベリオンや、ルイゼンバーンやクロノスって人がボコボコにしたらしいけど。まあ下の階の奴等は皆ランベリオンに恐怖したり、敵対心持っていたりと感情は様々だったけどね。聞いていたより強くなかったね」


「ノア君。無意識に心を傷つけるのはよくないよ?」


「え。それはごめんなさい」


 もう、何かお姉ちゃんと弟みたいなんだけど。まあ、今のところノアがこの中で一番強いんだけどな。ただ、俺が必殺黒板キーキーするとノアは耳が痛くて戦意喪失するから、実質俺のが強いってなるのか? 知らんけど。


「それにしてもナリユキのスキルって何なの? いきなり手から岩が出てきたり、ボクが大嫌いな黒板? ってやつ出したり」


「俺のスキルは創造主ザ・クリエイターってスキルで、手からわりと何でも出せるスキルなんだ」


「割と? 曖昧な表現だね」


「まあ。水や食べ物は出せないのさ」


「成程。ミクは?」


「私は天使の翼エンジェルウイングというスキルで、お空を飛べることができるの。まあ、ランベリオンさんみたいに速くは飛べないけど」


「そうなんだ。ミクは可愛いからお似合いのスキルだね!」


「え、何? 将来有望!? お姉さんキラーじゃないですかナリユキさん!」


「ミクちゃんが年上キラーだけど」


 ミクちゃんの頭の上には思いっきりハテナマークがついている。いや、見えないんだけどね。恋愛の動画出していたのに、計算じゃなくてただの天然なところが怖い。

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