第31話 700層目の強敵ノアⅠ
700階層に来たのはいいものの、目の前にいるのは10にも満たない緑色の髪の少年だった。
「めちゃくちゃ可愛いですね」
そう言っているミクちゃんの目が怪しい。ちょっと、ここに来てショタコン発動しているんですか! で、見るとランベリオンは――。
「わ、我が子供に恐れを抱いたのは初めてだ。次元が違う!」
最近、ランベリオンは俺にもそんな事を言うのだ。でも言わんとしていることは分かる。鑑定士で測定できないのは仕方がないとしよう。ただ――。
「ナリユキがこの中で一番強いね! その次にミク。最後はランベリオンか。S級の魔物がこっちに来て間も無い人間に劣るって珍しいこともあるもんだね。あ、僕の名前はノアだよ! 宜しくね!」
ひょうひょうとした口調ではあるがここまで油断ができない敵は正直初めてだ。
「ナリユキ殿。三人で戦おう」
「だな」
「私も今回はヤバい気がします」
「本当に戦うの? 死んじゃうよ? ボク、めちゃくちゃ強いから」
「一度やってみないと分からないだろうが!」
俺はいつも通り岩山を落とした。直径20m程だ。そしてミクちゃんは光のアクティブスキル、
ランベリオンは
普通ならもうこれで勝ちが確定する。しかしノアは頬を手で掻いては余裕を浮かべている。この時間は何だ。俺達の時間があまりにもゆっくりすぎる。そしてノアもまたゆっくりとした時間を過ごしている。ほんの一秒が十秒ほどに感じる――。
「ほい」
ノアは俺が落とした岩山を左手で受け止めた――そんな馬鹿な話があってたまるか!
「それ!」
ノアはまたもや曲芸を見せた。ミクちゃんの
「あれ? 思ったより大分強いね。ここまで来た君達も凄いけど僕の手を腫れさせたのも凄いや」
いや、こっちからしたら怪我はむしろそんだけですか? って言いたくなるわ。やべ――俺の無双エピソードオワコンだぞ。ワロエナイ。
「ナリユキさん――これヤバくないですか? 怪我をしたってことはただの耐久力ですよ?」
「だな。ただMP尽きてしまうぞ」
「我のアルティメットスキルを使うか?」
「
「了解です」
「分かった」
俺は、ランベリオンにジェネラル・ワイバーンの素材で出来た刀を、
「よし!」
ランベリオンが俺から受け取った刀を振ると、振った後に炎が発生した。いつも思うが炎の化身のようだ。実に似合っている。
対して、ミクちゃんは650層目の中ボス戦で、
普通であれば、このような代物を揃えていて、俺には唯一無二の
「行きますよランベリオンさん!」
「ああ!」
ミクちゃんとランベリオンは
「なかなか速いね」
と、呑気に感想を述べているノアは化け物だ。そして、二人の攻撃を軽々と避けている。さっき見たあれだ。
恐らく時間を遅延させるスキルか、時間を操ることできる類のスキル。クロノスとは別のベクトルで時間を操っているらしい。ミクちゃんとランベリオンには迷いが無さそうだ。だとすると、ノア一人がゆっくりの時間を過ごしている可能性がある。
あまりにも鮮やかな躱しっぷり。しかし、うちの二人も負けてはいない。ミクちゃんは翻弄する者Ⅴのパッシブスキルを駆使して、ランベリオンはもうただの戦闘センスで全て避けている。こう考えると竜族ってのは凄いな。
「へえ。凄いね。ミクに至ってはボクの攻撃当たる気がしないんだけど」
「あれ? スキル視てないの?」
「スキルを視る? 何それ?」
ノアの発言に一度引き下がるミクちゃんとランベリオン。そしてこっちに来た。いや、戦えよ。こっち隙が出来るの見ているんだから。
「ノアくん鑑定士持っていないらしいよ?」
「そうだ。ミク殿に対してすっとんきょんな発言を漏らしておった」
「聞いてたっての。分かったから隙を作ってくれ」
ミクちゃんはとランベリオンは頷いて、再びノアに襲い掛かった。いや、緊張感無さすぎいいいい。
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