第25話 カルベリアツリーのダンジョンⅤ
朝、料理を作ってくれていたが、少し気まずい。と、いうか会話が極端に減ったのだ。食事中も俺とランベリオンばかり話をしていて、会話に入ろうとはしてこなかった。
そして上の階層に向かう為、俺とランベリオンは既に着替えて、外に出ていた。
しばらくすると、ミクちゃんも服を着替えて出てきた。純白のノースリーブの戦闘服。絶対領域というやつだ。太ももがチラリと見える。腕には
「昨日は変なこと言ってすみません。まだお付き合いをしているわけでもないのに――」
「いや、別にいいさ」
と、言ったが内心はシタかったぜコンチクショー!
「ランベリオン。朝も言ったけどお前本当に空気読めないよな」
「そ、そうか? 我は未だに昨晩、覚えたてのアルティメットスキルを何故撃たれたのか分らんのだが。しかし、お陰様で新たなスキルを手に入れたようだ。感謝致す」
「は? 何のスキルだよ」
「ダメージ軽減というパッシブスキルだ。今はⅠなので、5%程のカットらしいが」
「お前、もしかして俺が攻撃していたら、スキルレベル上がるんじゃね?」
「そういうことだな!」
ランベリオンめちゃくちゃ威張っているのがやたら腹立つ。しかし、ダメージカットのパッシブスキルを持っているのであれば、益々ギャグ要員になっていくのでは?
「まあ、むしゃくしゃしたら、ランベリオンを痛めつけれるわけだ」
「いや、それは話が違う――」
「さあ。今日もガンガン攻略していきましょう! 500層まであと50層です」
ミクちゃんがそう言って、休憩エリア出て上の階層に向かった。階層に着くと、いつものようにランベリオンの
階層が高くなるつれて天井の壁は厚く貫通する枚数は少なくなっていた。そして、ボスでは無い魔物でもこの階層だと時間がかかってしまう。そして、5,000体の魔物が出てきたりするので難易度は桁違いなのだ。
ランベリオンもこの階層になると一緒に戦い、戦闘力を上げている。どうやらこの階層になるとランベリオンも神経を使うらしいので、良い刺激になっている。
階層ごとに別種類の魔物がいるので、当然、アクティブスキルが効かない魔物や、物理攻撃が効かない魔物、アルティメットスキルが出来ない魔物がいる。そのなかで、戦い方を臨機応変に変えていくのだ。お蔭様で、戦いのセンスは相当磨かれたと思う。そんな戦闘センスを磨いた状態でも1階層に30分使ったりなどザラにある。
あれから三時間程戦い続けた。いよいよ500層目のボスとなる。
「ふう――行くぞ」
ミクちゃんとランベリオンは呼吸を整え「うん」と返事をした。そして俺はゆっくりと扉を開けた。
地下施設のシェルターのような洞窟だ。床から天井までがものすごく高い。そして、中央にいる水色の
名前:ナーガラージャ
性別:♀
種族:蛇族
称号:
勲章:なし
MP3,000,000
強さ又は危険度:S
パッシブスキル:脱皮Ⅴ、硬質化Ⅴ、超再生Ⅴ、超音波Ⅴ、思考加速Ⅳ、念話Ⅳ、麻痺無効Ⅴ、毒無効Ⅴ、硬質化Ⅳ、金縛りⅤ
アクティブスキル:
ユニークスキル:
アルティメットスキル:
スキルだけで言うとランベリオンの方が負けているのになんで、ランベリオンは勝てたんだ? あと、
「話はブリーナに訊いておるぞ。久しぶりでは無いかランベリオン。妾はお前に復讐をできるのが待ち遠しかったのだ。そしてそこにいる人間二人。妾は油断せぬぞ」
「ああ――来いよ。でもちょっと待って」
「へ?」
ふうと深呼吸をしてミクちゃんに拳を見せる。
「よし! 行きますよ」
「最初はグー! ジャンケンホイ!」
「やった! 今回が私が戦える!」
俺はグー。ミクちゃんがパーで俺は負けた。300層からこんな感じでやっているのだ。ジャンケンで勝った方が戦えるという至ってシンプルなゲーム。二人で戦わないので、レアなスキルの獲得率が高まるので非常に効率がいい。しかし戦いたかった! 悔しい――。
「もしかして 小娘が一人で戦うのか?」
「ああ――我は戦わないぞ? 残念ながら」
ランベリオンがそう言うとナーガラージャはめちゃくちゃショックを受けている。少し涙目になってるんだけど。ここのダンジョンの魔物は濃いキャラが多いな本当に。
「わ、妾はこの日をどれだけ待ち望み、鍛錬に励んでいたことか――。まあ良い。妾が小娘など簡単に捻り潰し、ランベリオンに一矢報いるのだ!」
「じゃあそろそろやりましょう! 体が冷えてしまいます」
ミクちゃんはそう言って
「ナリユキさん。レイピア持っていて貰っていいですか? 今回は刀でいきます。鑑定した感じだとアクティブスキルの相性悪そうなので」
「いいぞ」
「ありがとうございます。お願いします」
そう返事すると、ミクちゃんは俺にレイピアを預けた。そして、ナーガラージャに向かって歩いていく。
「行くぞ小娘!
ナーガラージャが口からは灼熱の炎弾が放たれた。ただミクちゃんは全く物怖じしていない。放たれた炎弾をそのまま浴びた。
「怖くて避けることもできなかったか! 可哀想な小娘よ!」
ナーガラージャは高らかに笑っているが、ミクちゃんはケロッとした顔で出てきた。
「は?」
ナーガラージャはすっとんきょんな表情を見せている。いや、そりゃそうだろ。熱無効Ⅳのスキルがついているのだから。
「ど、どういうことだ?」
面白いくらい狼狽えている。意外と相手が何のスキルを持っているかとか考察しないんだな。鑑定士のスキル獲得すりゃいいのに。
「私、熱無効のスキルがあるので、炎は効きません」
「な! 何だと。いや、しかし妾にはまだアクティブスキルがある」
「それは視れば分かりますよ。じゃあ次はこっちからいきますね。
ミクちゃんが
「さあ来い! あら?」
ナーガラージャは上半身と下半身が真っ二つになった。ナーガラージャ自身は何が起きたのか分からないだろう。
「な――何だと!」
自分の身体が真っ二つになったのは、自分の下半身が隣に転がり込んで気付いたようだ。ミクちゃんの居合斬りのアクティブスキル、風林一閃は林のように静に構え、風のように素早く放つ居合斬り。まあ、
「まあ良い。妾には超再生がある。これで直ぐに元通りだ――あれ変だ。いつもならもう出来るはずなのに何故……」
「あ、それは私のパッシブスキルで、絶対切断が発動しているからですね。しばらく時間かかると思いますよ」
「なに!? しかしそんな事でへこたれる妾ではないわ。下半身の回復が遅かろうと攻撃ではできるのだ!
「
「なんだそのワイバーン並みの火力は!」
「まあ、我が使い方教えたからな」
ランベリオンがそう小声で言っている。そう犯人はこの人。ナーガラージャの対策で予め
当然、ミクちゃんの
ナーガラージャの断末魔が部屋に響き渡る。まあ当然の結果だわな。
そしてミクちゃんは自分が熱無効のパッシブスキルを持っているのをいい事に、山火事になっても可笑しくない炎に包まれるナーガラージャに、アクティブスキルの流星突きを浴びせた。
「ふう。これで終わりですね!」
ミクちゃんがそう言うと、扉は開かれた。ナーガラージャは死んではいないものの、戦闘不能になっているので、クリアという認識らしい。
「ナイスだったぜ!」
俺が褒めると、ミクちゃんは大満足の笑顔を見せてくれた。
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