第46話 Recollection
フィールドにて、赤黒い紋様を身体に纏った二人が睨み合うという歪な光景が展開されていた。
フィールドには吹くはずのない風が何処からか吹き、二人を優しく包んでいた。まるで、嵐の前の静寂のように────
「贋作が
ラーゼの屍を借りた『何か』は『
「なんだ、また寡黙でも気取るか?道化として寡黙なキャラ作りは些か受けが悪いぞ」
『何か』はクスクスと人を小馬鹿にするような笑みを浮かべながら更に言葉を続けていく。
「それともまた先程のように話せるようになるまで痛ぶるか?どの道殺すのだ。どこまで痛ぶれば死ぬのか実験をしようか!?」
「……言いたい事はそれだけか?」
「ほう?」
『
「俺は……自分が何者か分かりたく無いのかもしれない。俺が正しいと思ってやった行動が誰かの
『
「だから……それによって犯した俺の罪は消えない。俺は人を殺した、何人も、良かれと思って殺したのだ。罪を償う事など出来はしない」
「だから今ここで俺を道連れにして共に心中するか?」
「それが、せめてもの償いになるのなら」
「くだらんな」
『
「罪?罰?そんなもの俺の片割れが口にするな。反吐が出る。そう気負うな。心ゆく
「俺は、最後ぐらい俺であるために戦う。それが俺の使命だ」
『何か』は諦めたように両手を若干折り曲げて小さなため息を吐いた。
同時に『何か』は魔力を高めつつ話し合いを半ば強制的に終わらせる。
「まあよい、俺に意見するものは全員死ねば良かろうて」
軽く放たれた言葉に『
「死の覚悟は良いな贋作?片割れ風情が俺に口出しをした事を死を持って後悔させてやろう」
そして、フィールドに再び地獄が訪れる────
『何か』は魔力を高濃度に圧縮させ、まるでこのフィールドを地獄に変えた極大魔術のような魔力を展開させる。
同時に『
「転生者よ、その女神を連れて離れていろ」
「言われなくても逃げるよ」
ラックはすぐに女神を背負い、その場から走り去って行った。
「何、そう構えるな。小手調べに過ぎん」
次の瞬間、『何か』の手の先に魔力が高濃度に圧縮されたかと思えばその魔力は邪悪な光を帯びてまるで無限に伸びる槍のように一直線に『
────速いな……!
直ぐに『
『何か』は『
────グッ!
『
しかしその拳は容易に────
『
衝撃によって内臓部位にも多大なダメージが入り込み、思わず『
そして、反撃の一手を思考する。
────速さでは勝てない。
────俺は、何を使えばあのオリジナルの化け物に勝てる?
────俺は、どうすれば俺を証明できる?
「考え事か?余裕だな」
刹那、本当に一瞬で『何か』が視界の目の前に現れた。
さらにその『何か』の身体は視界に映る限りは足が大部分であり『
そして宙を舞う最中にも『何か』は立て続けに攻撃を繰り出してくる。
上から一撃、下に落ちる所を下から蹴り上げる。そして次は右側から拳を入れられ左側に────
止まる事のない拳は『
そして最後に一際強い蹴りが振り切られ、『
「どうだ?勝てる気がまだしているか?」
『何か』はケラケラと笑いながら蹴り飛ばした方向に目を向ける。
するとそこには二本の足でしっかりと立っている『
────つくづく
『何か』はこちらを睨みつける『
────決心が付いた目はリューア思い出させる……心底腹立たしい。
かつての友であり、最後の敵であるリューアに『
────あの目は、潰さなければ気が済まない。
そして、再び『何か』は大きく跳躍し『
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