第4話 防衛攻撃対策訓練
授業は退屈なものばかりだ。しかし受験をするとなり、俺は勉強をした。馬鹿な頭に沢山叩き込んだ。今じゃ兄弟なんかちっぽけに見えるくらい知識はある。だから授業がまったくわからないわけでもなく、サボったってテストでいい点取れてしまう。
人生楽に生きるべきだよなぁ。
静かなクラスがわっと盛り上がるのは授業終わり。特に___次の授業が『防衛攻撃対策訓練』の時だ。
入学して始めての『防衛攻撃対策訓練』この高校生活で一番楽しみにしていた。でもまぁ、始めてだからあまり派手なことはしない。
コールネームを作るそうだ。ファントムが言ってたやつだな。
まぁ、厨二病っぽいのもあれば名前をもじったやつもある。例があっても思いつかない。ファントムみたいに決めておくべきだった。適当に考える。しかし、考えるのに飽きてしまい、ぱっと思いついた名前にした。
考える時間が終わると一人づつ、黒板の前に立ちコールネームを発表していく。ダッサイ名前もあればむず痒くなってしまう名前もあった。マリーナの番が回ってきた。マリーナの名前は『キャシーベイツ』何が意味なのかわからないが名前らしい名前だ。
俺の席は一番最後の方だから飽きてしまった。俺の番が回ってきたときにはもう眠かった。
俺の名前は『ダイナマイト』武器の名前だ。厨二病っぽい。まぁ、被らなかったからいいだろう。中には被った人もいて後で話し合い(殺し合い)で決めるそうだ。面倒くさい。
そしてなんか資料みたいのにコールネームを記入して提出して授業終わり。
「あまりおもしろくなかったな。」
休み時間中にマリーナ、いやキャシーベイツにそう言う。作戦会議中なのに。まぁ、まだメンバー二人だけど。
「あーわかるわかる。だけど俺、もう決めてたからほぼサボってる感じだった。」
俺に答えたのはキャシーベイツではなくファントムだった。どこまでもむかつく奴だ。
「何しに来た。」
俺が睨むようにしてファントムを見るとファントムは「あー怖い怖い」と言ってそばの椅子に座った。キャシーベイツは俺の顔を見て、合図を送った。その合図はファントムをチームに入れるということを意味する。前々から話していた。実際キャシーベイツが言うには結構使える奴らしいから、俺も入れてもいいと思う。そういう話しはしていた。
「ファントム、アンタチームに入らない?」
「え…?」
ファントムは何故かキョトンと首をかしげていた。それがなぜなのかはすぐにはわからなかった。だってもともと、チームに入れてくれと自分で頼んでいたから何故ここで呆然とするのかわからない。俺はじっとファントムの眼を見た。バッチリと合うとすぐ視線をずらし、ヘラヘラと笑った。
「ごめんごめん!俺、いつも頼む側だったからさぁなんか、誘われるのが変な感じするってか、なんか…嬉しいなぁ。」
弱々しくへにゃぁと笑った顔は子供らしく感じさせた。キャシーベイツは返信に急いだ。
「それはつまり?」
「いいってことだよ!!!よろしくなぁ!」
ファントムはキャシーベイツと俺に抱きつくように腕を広げ、覆い被さった。馬鹿みたいな奴。そう思った。だって、こんなに誘われることに喜びを感じるなんて、自分が無力だってことを自覚してるからだろう。可哀想な奴で本当に馬鹿な奴だ。そんな奴が仲間になるなんて昔は想像もしなかっただろう。
____後日____
まぁ、わかってた。
俺がファントムと組んだという噂が瞬く間に広がった。そんな気はしていた。ファントムもキャシーベイツと同じで特に目立つ能力は習得していない。だからこんな最強な俺が組むなんて意外過ぎて仕方ないのだろう。俺は本気でレッドウィングに入る気はないという噂まで流れた。
被害にあうのはいつでも俺じゃない。俺と関わった者だ。
ファントムの悪い噂も簡単に流れた。
本当かは知らないが、噂によると両親が敵軍に殺害されそれの復讐を企んでいるらしい。ファントム、トム・クラッシュドーナーの両親は天才ハッカー組織の一員であったことから狙われたと思われる。生徒表では、情報収集、ドローン操作、防犯カメラ映像の入手を特技としている。何故ここまで優秀な力を持っているのに誘いの一つもなかったかというと、どうやらその記録、資料のデマ説があるからだ。両親が天才ハッカーなのは事実で、そこを利用して脅したという説がある。まぁ、俺としては証拠も何もないからこの噂こそがデマだと思うが。しかしその噂を知ってしまってから見るファントムは無理に胸を張り、笑い、自虐ネタを披露しながら目立ってるやはり馬鹿な奴にしか見えない。馬鹿に変わりはない。
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