クズの作成方法

中下

小学6年生のある日

小学校6年生までは、全てが順調だった。親は多少過保護であったが、衣食住は安定していたし、よっぽど悪いことをしない限り、暴力は振るわれなかった。学校は退屈ではあったが勉強はできたし、友達も多くいた。

しかし、小学校6年生になった時、全てが変わった。

ある日のことだ。仲のいい男子生徒と絡み合っているうちに、なぜか喧嘩へと発展した。まあ小6男児にはよくある事だ。しかし私は泣き虫だったので、その男子生徒と和解した後も泣いていた。それを見た気持ちの悪い、吐き気を催す一方的な正義感を持ったとある女子は、非常にありがたいことに、私が泣いていると先生へと「通報」した。先生はすぐ駆けつけてきた。私は泣きながら「もう和解したから大丈夫」だと、2~3回は言ったと思う。しかし先生は「当事者がいないと判断ができない」と思ったのだろう。その男子生徒を再び連れ戻して来たのだ。何があったのかを詳細に話したら、先生はそれについて理解出来たらしい。そして先生が私に下さった言葉はこれだ。

「やっぱりあなたが悪いんじゃないですか」

雷、稲妻、電撃。似たような衝撃が脳天から足の指先まで走った。そして頭がぐわんぐわんと揺れていた。漫画の「ガーン」というショックを理解することができた。詳細を話している間引いていた涙は、再び滲んできた。このお方は、先生は、こいつは、この女は、人間だったのか!

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