『ほこりの家系』

 兄には人の中の人が見えていました。それはきっと魂と呼ばれるようなものでしょう。

 おじいちゃんは死んでから悪いものとそうでないものを見分けられるようになりました。

 兄は、母親に何も主張しませんでした。母親も自分の複数いた弟たちをのことを思い浮かべながら男はだめだと思っていたのでわざわざ兄に聞きませんでした。彼らは皆わかりやすい第六感を持っていなかったので。

 しかし第六感はおじいちゃんが言ったように誰でも持っているものでした。おじいちゃんはそれを家にあった文献のおかげで知っていました。それはこの家系の興りの頃、虐げられた男性の日記のようなものでした。その事実をおじいちゃんは広めようとしたことで、そんなわけがないと思っている母親が指示した妖怪たちに殺されました。

 第六感はおじいちゃんのように死後に開花することだってありました。魂が同じであればそれは同一人物です。第六感は魂が持つ能力です。


 おじいちゃんはいつだって兄のために話しかけます。

 兄も、母親の言うことを素直に受け入れていました。けれどそのまま母を信じて生きるのも兄のためには……。それならいっそここで終わりに、全てを絶やして……。


 この家系では女性の方がわかりやすい能力として出やすいので家の中で女性の地位が上がっていきました。そしてそれと同時に男性の地位は下がっていきました。

 日記を書いた虐げられた男性というのはあるのにないとされた兄のような人物でした。けれどこの家系の興りの頃だったのでもう少し正確に認識していました。


 埃の家系。

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