春の憂鬱

@minami_okochan

第1話

2020年4月4日

彼は眠たいらしい。

窓の外では小鳥がピヨピヨと鳴いている。

朝一に歯磨きをするのがルーティン。

頑張って腰を起こし、洗面台へと向かおうとしたところ床に無造作に置いてあったダンベルに右足の小指をぶつけた。

この世のものとは思えないような痛みが襲ってくる。

もうダメだ。

そう思う頃には、痛みは殆ど消えていた。

気を立て直し、再び洗面台へ向かう。

しかし、またもや災難に襲われる。

今度は飼い猫のルールルルーの餌の袋をひっくり返し、床が餌だらけになってしまった。

ルールルルーはノルウェージャンフォレストキャットの3歳の雄である。

歯磨きは後に回し、まずは散らばった餌を片付けよう。

そう思った矢先、ピンポーンとチャイムが鳴った。

こんな朝早くから誰だろう。

誰であろうとアポイントメントの無い訪問には出ない主義なので、チャイムは無視する事にした。

「ピンポーン、ピンポーン」

何度も何度もチャイムが鳴り、気が滅入る。


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