第1話
一瞬何が起きたのかわからなかった。
私は給食を食べて、掃除時間のチャイムを聞いて、自分の担当の掃除場所である図書室にいた。
だけど、いつもとは少し様子が違う。
クラスメイトで仲の良いMちゃんと、Sちゃん、Rちゃんが目の前にいた。
3人の掃除場所は図書室ではないからいつもはいない。
Mちゃんが「なんでいつも遊ばないの?」って聞いてきた。
私は「毎日毎日鬼ごっこで飽きちゃったし、図書委員会の仕事もあるから。」って正直に答えた。
そしたら、3人の顔が変わった。
いきなり笑い転げてしまうくらいまでこちょこちょとくすぐられて気がついたら、Mちゃんが私の両腕を、Sちゃんが右足を、Rちゃんが左足を持って、3人に持ち上げられて廊下を運ばれていた。
私は怖かったから、「やめて、下ろして。」って言った。
それでも、3人はそのまま廊下を進んで、少し広めの場所についた瞬間に『せーの』
って言って、一斉に手を放して床にたたきつけた。
そして、もう一度持ち上げて、もう一度床にたたきつけた。
とても痛かった。
でも、それで終わりじゃなかった。
親友だと思っていたHちゃんが私が痛みに耐えかねて丸まった背中に、膝で思いっきり突いてきた。
私はその瞬間は痛すぎて息ができなかった。怖かった。何が起きているのか全く分からなかった。ただその場から少しでも逃げたかった。
近くに理科室にある、天板が灰色の机があったから、転がり込むようにして机の下に逃げた。ただただ泣くことしかできなくて、その場に誰がいたとか、周りに人がいたのかそれすらもわからなかった。
気がついたら、目の前にクラスメイトの男子がいて、「先生、○○が掃除サボってます。」って言っていた。
先生が来て、「何してんだ。掃除しろ。」その一言。
私は、「違う。」泣きながらそう言った。
それでも、先生は何も聞いてくれなかった。
逃げる勇気 @po_aya
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