第23話〜思考を巡らせろ

この部屋の状況といい、彼女の事といい本当に分からなくなってきた。だってよ、治るって言ってた病気は治らないし周りの人間を殺すガスが撒き散らされているし…

マジで混乱してる、誰か説明してくれよ。


「他の資料も拾っとくか?」


まだ床には沢山の資料のようなものが沢山あり、全てを読むのは無理そうだ。

俺は読みやすそうなものを探す、だって賢そうな文ばっか読んでいると頭が痛くなるからだ。腰を曲げて探す。


「痛いなぁ、てかどれもこれも頭が痛そうなヤツばっかじゃん。読めない読めない」


どれも六法全書のような硬い文章でつづられており、俺みたいな中坊が読めるはずもない物ばかりだった。


「あ、なんか見つけた!」


大量の紙の海から一つの日記のようなものを見つけた、急に伸びて腰をまっすぐにするので腰がボキボキといった。

うわぁ…なんか違和感エグいて。


「紙が黄色くなってる…結構昔のやつかな?十数年前ぐらいの」


表紙は汚れており、ほこりが被っており中の紙も汚かった。全体的に落ち着いた赤色で、丁寧に書かれていた。

持ち主の名前も何も書かれていないため誰のかは分からない。


「お!日記かぁ〜他人が自分の日記を読むのは嫌だけど、他人の日記を読むのは最高に楽しいんだよなぁ……俺、最低かな」


人にやられて嫌なことはやるな、という親父の教訓を思い出したがこんな状況だしちょっと欲を出してもバチは当たらないだろう。

俺は1ページ目を開けた。


「2005年5月15日、天気はまごうことなき晴天。今日は、娘の███の葬式だった。私は父親が出来ただろうか?あぁ、1994年のあの日を思い出してしまった。

あの時ほど後悔することは人生の中でもうないだろうと思っていた、しかしそんな思い込みを運命は軽々と変える。

親族達は号泣している私を軽蔑した目で見た。腹が立った。コソコソと早く死なせれば良かったのにと聞こえた時は本当にどうにかなりそうだったが、抑えた」


次のページをめくる、まだ続いているようだ。


「あの子が、██が生きたいという意志を尊重したから私は治療方法を必死に見つけようとしたのだ。

それをなんだ、お前らのエゴで██の意志を決めつけるんじゃない。お前らには分からないだろう、我が子が死に絶えて冷たくなっていく感触を。だから親戚は嫌いなんだ」


要約すると2005年に娘が死んだ、その11年前の1994年になにかがこの人には起こったのだろう。


「うーん…これは誰の日記なんだ?」


俺は更にページをめくった。


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