第18話〜好調

今は昼休みに入っていて俺はもう給食を食べ終えたところであった。ガリ勉も食べ終えているが、筋肉ゴリラだけは食べるのが遅いのでいつも最後になっている。


「お前いつも遅いよね?ヤンキーが食うの遅いって中々シュール」


ガリ勉はまた筋肉ゴリラを煽った。しかし筋肉ゴリラは黙々と食べている。

さすがに口の中にものが入っている状態で話そうとはしない。してしまえば、口からものが旅立ってしまうからだ。


「お、ちゃんとそのべちゃべちゃ野菜もどき食べろよ。言っとくがそれマジでまずい」

「そう?僕的には美味しかったけどね、自分で作ったような味がする」

「お前の飯は食いたくないなぁ」

「誰も泉水いずみくんに作るなんて言ってないよ。」


とりあえずこの会話からガリ勉は俺と全く好みの味が違うということが分かった。あんなべちゃべちゃを美味しいとか、味覚エグい。


そして、そのべちゃべちゃ以外は食べ終えた筋肉ゴリラはその給食のお盆ごと片付けようとした。おいおい、まじか。


「ちゃんと食べろよ、筋肉ゴリラ。食物繊維も取らないとちゃんとしたゴリラになれなくなるぞー」

「いや本当にさそれはマジで美味しいから食べてみてよ、騙されたと思ってさ」

「そうそう…騙されたと思って食べてみな、後々後悔する」


おぉ、筋肉ゴリラにしては珍しくあおられても文句1つ言わなかった。これは明日頃にはメスゴリラがバナナをくわえながら降ってくるだろう。

うーん、筋肉ゴリラなら想像出来るというか現実でも出来そうだ。


「……」


筋肉ゴリラは、そのゆかりのかかったべちゃべちゃの野菜炒めを1口で食べた。噛んではおらず、丸呑みである。飲み込んだあとは速やかに食器を片付けにいった。


アイツ、やりやがった…!


「えっ、えっ、マジで?マジで?お前バケモンエグいって!えぇ…やっばぁ」

「食べろって言った僕らが悪い、でも丸呑みは予想出来ない」


ガリ勉は慌てながらもこの状況をなんとか分析しようとしている。筋肉ゴリラは何かを極めたような顔つきでこちらを見てくる、こっち見んな。


「…実は俺」



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