第11話 「岩の中の聖者」について
エブリスタで公開してる「岩の中の聖者」という作品ですが、妄想コンテストの結果が出たので、カクヨムにも移植しようかと思います。
エブリスタの「妄想コンテスト」は、わたしは賞ねらいと言うよりも、作品を書く筋肉をつけるためのものとして書いているので、これはこれで好きです(もちろん、選外だったのでがっかりはするけど)。今は書けないけど、もう少し時間がある時にまた書きたい。
で、この作品について。性的なお話になるので、苦手な方は回れ右をしていただければ幸いです。
この作品は、作品内ではだいぶぼかしていましたが、去勢して歌手を目指した(目指すことを余儀なくされた、といった方が正しい。詳しくは作品を読んでいただけると幸いです)少年が主人公になっています。
だいぶ前からわたしは「カストラートについて書きたい」と思っていたのですが、いまいちどういう作品にするかはずっと出てこなかったわけです。
そんなときに「十三世紀のハローワーク」と言う本を手に入れまして。この本には、墓守、剣闘士、吟遊詩人、司祭、コーヒー嗅ぎと言う、古代〜近代にかけての職業について網羅されておりました。その中にバッチリ「カストラート」についても書いてあったわけです。その中で、「去勢手術はしたものの、歌手になれなかった大多数の去勢者」についても少し触れられていたわけです。
そりゃそうだ。誰もが舞台に立てるわけではない。じゃあ、舞台に立てなかった大多数の去勢者はどうなったのか? 教会の聖歌隊に入るか、アルト歌手として食っていくか? そもそも、中世のあの社会で彼らに向けられる視線はどうなのか。著書のグレゴリウス山田さんは「去勢歌手になれなかった彼らの心のうちを記した資料は今の所見つかっていない。それこそが本当に記録に値するものだと思うのだが」と書いて、カストラートの項目を締め括っています。
その最後の一文から、こういう話になりました。舞台に立てなかった、歌手になれなかった大多数の「カストラートになれなかった去勢者」が一握りでも救われればと言う思いが強かったかもしれません。
ただ、こういう教会音楽やキリスト教が混じっているネタになると、中途半端には扱いたくない。何故ならば、わたしの本当の専門分野はキリスト教音楽および宗教音楽史。そんなわけで久しぶりに専門分野の本に手を出しましたよ。うん。
忘れてる!!!ヤッベええ、勉強したっていう事実だけが残っていて忘れている、こりゃいかん!!久しぶりに見たよグレゴリオ聖歌の四線譜……。そう、聖務日課と詩篇と……。
忘れていた諸々を思い起こし、締め切りの1時間前に書き上がったのがこれです。
作品のイメージとしてはジオットです。修道服のカプチーノ色はフランシスコ修道会をイメージしているのですが、先日「イデアの結界」をぱらぱら読み返したら「アッシジのスバシオ山中腹にカスチェリという場所があり、このカスチェリは聖フランシスコが観想の時を過ごした岩窟」と書いてありました。
わたしは「岩の中に清貧な修道士がいてほしい」という妄想だけで進めたのですが、微妙にマッチしてちょっと嬉しかったです。
この話はこれでとりあえず纏めましたが、また、カストラートについて、もしくは、修道士について書きたいと思う時がくるかもしれません。その時は、50000字程度の中編として纏めたいですね。この長さとこの内容の作品は、ネットでもラノベ業界でも需要がないかもしれないがな!!
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