5月27日(土)晴れ時々曇り 明莉との日常その92

 テストの疲れを癒す百人一首の日。

 そんな今日は久しぶりに桜庭くんがやって来た。


「こんにちは、桜庭くん。男子バド部忙しいみたいだね」


「は、はい。たぶん、テスト挟んだこの後は落ち着くと思うんですけど……」


「それは良かった。まぁ、今日はゆっくりしていってよ」


「どしたの、りょうちゃん。急にいいお兄さんっぽいムーブして」


「ふ、普通に歓迎してるだけだから」


 そう言いつつもちょっといいところを見せたかったのは図星だった。

 同じ学校へ通い始めたのに、最近は話す機会も少なかったので、貴重な絡みは大切にしたいと思っている。


「あっ。スイーツ買って来たので良助さんも一緒にどうですか?」


「おお、ありがとう。でも、僕は部屋で頂くよ」


「なに自分の家で遠慮してんの? 一緒に食べればいいじゃん」


「いや、しかし……」


「あと、りょうちゃんがお茶用意してくれた方が確実だし」


 そっちが本音かと思いつつも、さすがに明莉もお茶くらいは普通に入れられるので、気を遣ってくれたのかもしれない。

 パックの紅茶を用意してから3人でスイーツを食べ始める。


「明莉ちゃん、そっちはご両親の分だから……」


「わかってるってば。さすがにあかりもそこまで強欲じゃないよ」


「……今日ってなにかの記念日だったりする?」


「いえ。テストが終わったのでお疲れ様的なやつです」


「それで明莉以外の分まで買ってきてくれるなんて……本当にありがとう」


「そんな。何回もお礼を言われるほど高いものじゃありません」


「もしかして……正弥くんもいい彼氏っぽいムーブしてる感じ?」


「ふ、普通に買っていこうと思っただけだから」


 桜庭くんはそう言って謙遜すると、明莉はクスリと笑った。


「な、何か変なこと言った?」


「ううん。ただ、りょうちゃんとほとんど同じようなこと言ってる」


「えっ?」


「りょうちゃんも気付いてなかったの?」


「う、うん。でも、そこまで似てたかな……?」


「あかりは他の時も似てるなーって思う瞬間は度々あるよ」


「そうなのか……」


「な、なんかすみません」


「いやいや。むしろ、僕と似てる方がなんか申し訳ない……」


「そんなことないです! 良助さんと似てるなら嬉しいですよ!」


「そ、そう?」


「なにあかりを差し置いて男2人でいちゃいちゃしとるんじゃ」


「「ご、ごめん」」


「ほら! そういうととこ!」


 それからスイーツを食べて終わった後、僕は部屋に戻ったけど、移動する前に桜庭くんと妙な照れ合いをしてしまった。

 何度か言われていたことだけど、本人の前で似ていると言われたのは初めてだったかもしれない。

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