2月8日(水)曇り 北の修学旅行その1

 天候は悪くない水曜日。

 本日はとうとう北海道への修学旅行だ。

 正直に言うと、前日まではそれほど遠方に行く実感がなかったけど、僕にとっては初めての飛行機移動になるので、空港に着いて妙な緊張感と旅行に対する期待が生まれてきた。

 時間にしてみれば1時間ちょっとの移動で、飛行機って便利なんだなぁという小学生のような感想を抱きながら北海道の地に足を踏み入れる――


「おえ……」


「う、産賀くん、大丈夫?」


 しかし、変な緊張のせいで僕は少し酔ってしまい、その後のバス移動ではあまり景色が目に入って来なかった。

 

 そんな中、最初の目的地であるファームに到着する。

 一日目はクラス別で動くことになり、ファームでは最初に昨今話題のSDGsを中心とした活動についての解説を職員の人から受けた。

 それから、ファーム内を一度案内して貰った後、1時間ほど自由に見て回れる時間になる。


「大倉くんはどこか見たいところある?」


「えっ。う、産賀くん……岸本さんはいいの?」


「うん。今日は花園さんとか女子と一緒に行動するみたいだから」


「そうなの? 班行動でもボクは一緒だから……」


「いやいや、別に気遣いとかじゃないから。それに……クラスで言いふらしてるわけじゃないし」


「そういえばそっか……」


 そう言いつつも女子の間では知られているという話を路ちゃんから聞いていた。

 まぁ、誰が漏らしたとかではなく、日曜に出かける姿を目撃された可能性もあるから驚くことではない。

 ――って、何だか北海道らしいことを書けていないな。


「体調はもう大丈夫そう?」


「うん。思い込みかもしれないけど、外で空気を吸ったらいつもより綺麗な気がして早く気分が良くなったよ」


「あー、よく聞くけど……すーはー……確かにそうかも。ここはファームだから余計に」


「ということは、空気の綺麗な場所で療養するって理屈は本当に合ってるのかな」


「そ、そこで出会う美少女……」


「ありがちだ。まぁ、それと同じくらい寒さは感じているけど」


「ぼ、ボクも体調崩さないように気を付けよう」


 何だか悪い点ばかり挙げてしまったけど、ファームの見学はかなり楽しかったし、途中で食べたソフトクリームやホテルの晩ご飯も凄く美味しかった。


 だけど、今日は移動がメインだった気がするので……ホテルではすぐに力尽きてしまった。

 こんなところでも体力の無さが浮き彫りになるのは、何度目かわからないもっと日頃から運動しておけば良かったと思う瞬間だった。

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