1月22日(日)曇り 急接近する岸本路子
あいにく曇天の日曜日。
本日は昼食から路ちゃんとデートする日だ。
昨日あれだけ明莉の心配をしておいて、僕だけ遊びに行くのは少し申し訳ないけど、僕にとってはこれも重要なので許して貰おう。
「そっか。中学生も受験が始まる時期なんだね。それなら……やっぱり良助くんの家にお邪魔するのは、もう少し先にした方がいいのかな」
「いやまぁ、家に来るくらいは……僕の家に!?」
「前にも言ってなかったっけ? 妹さんにも挨拶しておきたいって」
「あ、ああ。そうだったね」
忘れていたわけじゃないけど、改めて言われるとまだ緊張してしまう。
でも、付き合い始めてから約1ヶ月……良くも悪くも僕と路ちゃんに大きな変化はない。
僕としてはまだ次のステップに進まなくても大丈夫だと思っている。
ただ、進まなさ過ぎるのも、それはそれでどうかと思うわけで……
「それなら……先にわたしの家に来てみるのもいいかも」
「それなら……路ちゃんの家に!?」
「う、うん。あんまり出かけるばかりでもお金かかって良助くんにも悪いし」
路ちゃんが気遣ってくれたのは、デートの時に払えそうなところは僕が全て払っていたからだろうか。
確かにバイトをしているわけではないので、僕もお金はなるべく抑えたい気持ちはある。
だけど、それで路ちゃんの家に行くのはなかなか……
「両親に紹介したいとかじゃなくて、普通に家でゆっくりするのもいいかなと」
「な、なるほど。でも、そろそろ挨拶した方がいい気もしてたし……」
「そ、それはそれでまた機会を作りたいのだけれど……平日の放課後なら2人とも仕事でいないから……」
「……えっ?」
「あっ! えっと……塾に行く前とかに……うちに寄って貰ってもわたしは大丈夫だから……」
路ちゃんの言葉は途切れ途切れだったけど……これは……来て欲しいと言っているのだろうか?
……いや、単に家デートがしたいという意味だろう。何も焦る必要はない。
「じゃ、じゃあ……その、明莉の入試が終わったらお邪魔してもいいかな。僕も終わるまでは何だか落ち着かなくて」
「う、うん。わたしもその方がいいと思う」
「…………」
「…………」
「そろそろお店……出ようか」
「わ、わかったわ。今日は……わたしも払うから」
その後、僕と路ちゃんは何とも言えない空気のまま夕方近くまで時間を過ごした。
本当ならこの件をどう判断するか、松永あたりに相談したいところだけど……さすがにこれを自分の口から伝えるのは恥ずかしい。
とりあえず……ネットの知識で予習しておこう。たとえ正解が書いてないとしても。
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