1月23日(月)曇り 重森美里の介入その8
大寒波前の静けさがある月曜日。
この日は木曜に大山さんからお願いされた入塾の詳細について聞くことになった。
講師からは入塾はいつでも歓迎するけど、月の途中での入塾は受講料的に損する点は注意して欲しいと言われた。
あと、本当に入塾した場合は、僕の方に何かしらの紹介特典が貰えるとも知らされる。
まったくそんなつもりはなかったので思わず驚くと、講師からも真面目だなぁと言われてしまった。
「えー 紹介キャンペーンとかあるなら私に頼ってくれても良かったのになぁ、亜里沙」
路ちゃんと重森さんにそのことを報告すると、重森さんは羨ましそうに見てくる。
そういえば、同じバド部に重森さんがいるなら、そちらに頼っても良かったような気もする。
「というか、みーちゃんじゃなくて産賀くんに頼んだのか。産賀くんと亜里沙の方が知り合って長いんだっけ?」
「僕は1年の時からクラスが同じだったから。路ちゃんは2年生からだし」
「と仰っていますが、みーちゃん的にはどう思う?」
重森さんはわざわざ路ちゃんに話を振る。
「どうって……普通に頼り合う関係なのかなと」
「ふむふむ。みーちゃんは彼氏が他の女の子と絡んでも許容できるタイプか」
「ちょ、ちょっと重森さん」
「いやいや産賀くん。これは結構重要なポイントだよ。無意識にやってることが相手にとって駄目なことだってあるんだから」
それは重森さんの言う通りなんだろうけど……いや、路ちゃんに限ってそんなことは……
「あ、あのね、良助くん」
「うん?」
「……許容はできるのだけれど……喜んで受け入れられるかは……別かも」
「そ、そうなの?」
「も、もちろん、亜里沙ちゃんがいい子なのはわかっているし、良助くんが何か思って他の女の子と絡んでいるなんて全然思ってないのだけれど。でも、その、考えることはないわけじゃないというか……」
「もう、可愛いなぁ!」
そう言いながらいきなり路ちゃんに抱き着いたのは重森さんだった。
「なんで重森さんが行くの!?」
「えっ。産賀くんもそう思ったのなら抱き着けばいいじゃない」
「い、いや、ここ塾だし……」
「じゃあ、代わりに私が抱きしめとく。ぎゅー」
「ちょ、ちょっと美里ちゃん。女子同士でも恥ずかしいの変わらないのだけれど……」
だけど、2人が絡んでいることに周りは特に目線を向けることはなかった。
何だか話がズレてしまったけど、ひとまず入塾の資料も貰ったし、目的は果たせた。
……他の女子との会話、少し気を付けようと思う。
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