12月3日(土)晴れ 明莉との日常その69

 12月最初の土曜日。

 再来週から期末テストが始まるので、僕は今日からテスト勉強を始める。

 それが終わればクリスマスや冬休み……と浮かれるわけにもいかない。

 その前には進路調査など、3年生に向けた準備が始まっていく。


「それでは……本日もよろしくお願いします」


 一方の明莉も期末テスト兼受験が近くなったということで、居間で一緒に勉強することになった。


「なんでそんなに畏まってるの?」


「ちょっと真面目さをアピールしようかと思って」


「そ、そうか。まぁ、やる気があるのはいいことだよ」


「それはもちろん。テストが終わったらクリスマスや冬休みがやって来るからね」


 感心したと思ったら明莉は思いっきり浮かれたことを言う。


「おいおい受験生」


「いや、わかってるよ? 勉強は普通にするし、遊び過ぎないようにもする。でも、それはそれとしてクリスマスやお正月には美味しい物が食べられるし、冬休みにはちょっと多めに寝られるじゃない?」


「確かにそうだけど……」


「あっ、ちなみに今年のクリスマスの昼間は予定あるから」


「なんだその報告は」


「ちょっと言ってみたかったんだ。学校で言うと完全に嫌な奴になっちゃうから」


 僕に言ってもそれは変わらないような気がするけど、問題はそこではない。

 明莉は自覚していないようだが、やはり少しばかり浮かれている。

 ここは兄として……ではなく、受験生の先輩として厳しく言ってやらねば。


「でも、晩ご飯にはちゃんと帰って来てりょうちゃんとのクリスマスも楽しむからね」


「お、おう。そうか」


「それにりょうちゃんは誕生日も近いし……いやぁ、忙しくなるなぁ」


「ま、まぁ、僕のことはいいから勉強に支障が出ない程度にこの冬を楽しんで」


「はーい。じゃ、今度こそ始めますかぁ」


 ……何とも甘い兄だ。ちょっと妹から気にかけて貰えただけでさっきまでの考えはなくなってしまう。

 でも、この後はしっかり集中していたので、テスト後も程よく息抜きしながら受験に向かっていけると思う。

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