8月21日(日)晴れ 友人との夏休みⅡその2
夏休み32日目。この日はいつメンと恒例のカラオケに行った。気付けば夏休みも残り少なくなったということで、松永が数日前に集まろうと呼びかけてくれたのだ。
これだけ行っているとそれぞれの十八番の曲もわかってくるので、聞いている側の盛り上げ方や一緒に歌った方がいい部分もわかってきた。
「俺達の夏……もうすぐ終わっちゃうね」
曲入れが一旦途切れた時、松永は急にそんなことを言い出した。それに対して本田くんがすぐに反応する。
「なんだその言い方は。甲子園じゃあるまいし」
「いや、そういう気分になるって話だよ。夏休みと8月が終わったらいくら暑さが続いても夏は終わりだから」
「そうかもしれないが、夏に何か思い残したことがあるのか?」
「ない!……と言ったら嘘になるけど、今年も夏らしいことは結構できた気がする。ぽんちゃんはどう?」
「夏祭りとか行ったし、十分夏っぽさは楽しんだよ」
「いいよねー、夏祭り。クラさんは?」
「ぼ、ボクは……めちゃくちゃアイス食べたくらいかなぁ。出かけた方だとお墓参りくらいになっちゃうし……」
「あー、確かに気兼ねなくアイス食べられる季節だよね~」
流れで始まった夏っぽいことの報告会。振り返るには少しだけ早いような気もするけど、今年の僕もプールと夏祭りに参加したし、かき氷やそうめんを始めとする夏らしい食べ物もしっかり食べた。他にも色々あったけど、全体的に夏らしさは感じられたと思う。
「なるほど。何気にりょーちゃんが一番充実してた可能性はある」
それをそのまま話すと、松永はそんな評価をくれた。絶賛リア充の松永に言われるのも何だけど、充実感があったことは否定できない。
「良ちゃんはわりとそういうとこあるからな」
「そ、そういうとこって」
「わ、わかる。ふとしたエピソードを聞かされると結構凄いことだったり……」
「そんなことはないよ。それに……僕はこの夏にやり残したことがまだ残ってるから」
僕が珍しくそんなことを言うと、3人は顔を見合わせた。恐らく驚いているのだと思う。
「りょーちゃん、まだ1週間ちょっとあるんだし、やれることはやっておこうぜ!」
「ああ。部活はあるが時間は全然割けるぞ」
「ぼ、ボクも……って、暇なのはゲームとかでわかってるとは思うけど」
「あっ……みんなありがとう。でも、今のはそういう意味じゃなくて……」
「なくて?」
「……ううん。また夏が終わったら話すよ」
僕は言葉を濁してしまったけど、松永達はそれ以上追及しないでくれた。
返信が来ないということはまだ協議中の可能性もあるけど、そろそろ結果が出てもおかしくはない。
それでもしも良い結果だったら……僕はこの夏のやり残しを終わらせるつもりだ。勝手な行動だと思うけど、ここを逃してしまったら永遠に言えなくなってしまう気がする。
カラオケとは関係ない話になってしまったけど、今の僕はそういう気持ちを抱えていたことを記しておく。
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