5月8日(日)曇り時々晴れ 明莉との日常その46
GW10日目の母の日。母の日については例年通り事前に選んだプレゼント(今年は本格的なシュークリームにした)と共に感謝の言葉を送った。
一方、最終日となるGWを振り返ると、大きなイベントがあったわけじゃないけど、友達とそれなりに遊べて充実した連休だったと思う。その分、明日からの通常運行が億劫になってしまうのだけれど。
「もっと遊んでおけば良かったぁー!」
そう言ったのは昨日から元気を取り戻した明莉だった。まだ夏休みがあると言いたいところだけど、逆に夏休みの方が夏期講習とかがあったりして忙しい可能性もある。そこから受験が迫るにつれてどんどん遊びづらくなっていくかもしれない。
「原田さんとか他の友達はどこか遊びに行ってたりしたの? まさか誘い断ってたとか?」
「いや、断るとかはしなかった。結構がっつり旅行行く子とか多かったような気がする」
「あー この時期にがっつり遊んでおこうって感じだったのか」
「こうなったら今からでもちゆりんとどこか遊びに行くか……」
そう言いながら明莉はスマホを取り出す。
「いや、いきなり言われても原田さんも困るんじゃないかな。今日は母の日でもあるしやめといた方が……」
「よし、30分後集合だって」
「うそぉ」
僕は普通に驚いてしまった。明莉の行動力と原田さんの対応力に。
「そんなに驚くこと? 遊びたいタイミングだから声かけてるだけで……もしかしてりょうちゃんって友達を誘う前に色々考えちゃうタイプ?」
「……そうです」
「そうだったんだ……あかりとどこか行く時も再三確認取ってくるけど、あれは兄として心配してるだけだと思ってたよ」
「もちろん兄としてっていうのはあるけど……」
「まぁ、予定入ってるなら普通に断るだろうし、さんまり気にすることないんじゃない? それで嫌われることなんてないだろうし」
「おっしゃる通りです」
「おっと。喋ってる場合じゃなかった。準備してきまーす」
いつもの明莉に戻ってみると、僕よりも遥かにポジティブシンキングだし、人との関わり方も上手だと改めて思う。
「それじゃあ、行ってきまーす」
「いってらっしゃい」
「……あっ、りょうちゃん」
「うん? 何か忘れ物?」
「……心配してくれるのは感謝してるから。昨日のことも……ありがとうね」
そう言った明莉は僕の返事を待たずに出かけて行った。
そんな風に明莉が時々感謝してくれるなら心配性なところも決して悪くないと思える。このGW中でまた少しだけ誰かを誘えるようになったから、次は明莉のポジティブさを見習って誰かを誘えるようにしよう。
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