10月25日(月)雨 大倉伴憲との日常その9

 2学期中間テスト最終日。一緒に勉強した岸本さんと花園さんはどうだっただろうかと気になりながら数Ⅰを含む3教科をこなしていく。これは余裕ぶってるわけではなく、自分が教えた手前二人があまり良くない結果だと申し訳なく思ってしまうからだった。


「や、やっと終わったぁ……」


 一方、テスト終えた直後に僕の後ろからはそんな声が聞こえてきた。大倉くんにとっては今回のテストも強敵だったらしい。


「お疲れ、大倉くん」


「う、産賀くんも……でも、これが終わったらすぐに期末テストも来るんだよね……」


「あー……言われてみれば今週で10月も終わって11月過ぎたらもう年末だから期末までそんなに時間ないのか」


 2学期はテストのスパンが短い……と一瞬思ってしまったけど、その場でカレンダーを確認すると、1学期も2学期もテストはおおよそ2ヶ月に1回のペースで行われていた。それなのに2学期が短く感じるのは体育祭や文化祭が挟まったこともあるし、単純に僕たちが1学期よりも学校に慣れ始めているからだと思う。2年生になったらもっと早く感じるようになるんだろうか。


「まぁ、今はとりあえずテスト終わったからそれでよしということで……今週は土曜日も学校だけど、その日の夜くらいに何かやる?」


「い、いいね! あっ、そういえば11月になったら色々ゲームが発売されるけど、産賀くんは何か買う予定ある?」


 露骨にテンションが上げた大倉くんがそう聞く。11月から12月にかけてはいわゆる年末商戦が始まるので、新作ゲームがたくさん出る時期でもある。


「どうしようか迷ってるとこ。でも、最近は大倉くんと対戦ゲームばっかりやってるから久しぶりにがっつりRPGやってもいいかなぁ」


「RPGだけでもいっぱいあるよね。そ、そうだ! 土曜日はそういう新作ゲームをチェックするっていうのはどう?」


「うん。それも面白そう。もう誕生日やクリスマスで何か貰える年齢じゃないけど、そういうの見るの楽しいよね」


「そうそう……あっ。産賀くんは12月が誕生日だからプレゼントまとめられるタイプだった……?」


「ううん。5日とクリスマスで別々に買って貰ってた。ただ、両方テレビゲーム買っても絶対片方が終わらないからどっちかはカードゲームとかホビー系にしてた」


「へぇ~そうなんだ。ボクは2月が誕生日だからそこまでに終わらせて、次は5月のこどもの日、その次は夏休み中……みたいな感じだった」


「じゃあ、1年で5,6本ゲームが遊べるから……だいたいテストと同じペースだね」


「……も、もしかして、このゲームの買い方がテストに悪影響を……?」


 不安そうにする大倉くんに「そんなことはないよ」と言っておく。


 ゲームの買い方やプレイスタイルは子供の頃と少し変わったと思っているけど、テストが終わるとこういうゲームの話をついついしてしまう辺り、僕らはまだまだ子供なのかもしれない。

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