8月10日(火)曇りのち晴れ 明莉との夏休みその2
夏休み21日目。昨日の時点でも痛みがあったけど、この日僕の腕は筋肉痛になっていた。アクティブな遊びをする度にどこかしら疲れているから本当に運動不足……のせいにするのは何回目だろう。
そんなわけで課題や創作をひと通り済ませた僕は居間でスマホを見る気力もなくゴロゴロしていた。
「りょうちゃん、またへばってるじゃん」
遊びから帰って来た明莉は僕を見てそう言う。僕に比べて明莉の方はまだまだ元気があるようだ。これが若さか……なんて言うと僕もまだまだと大人に怒られそうだ。
「いや、今日は腕だけだからまだマシ」
「そうは見えないけど……りょうちゃん、いつだか言った筋トレは?」
「……やってないです」
「もー、だからだよー 明莉は部活ない日でもちょっとだけしているのに」
「ま、マジで!?」
「まぁ、筋トレっていうか、ちょっとしたストレッチだけど」
「バドミントンって大変なんだな……」
「ううん。バドっていうよりは……太ったらヤダから」
確かに明莉は甘い物が好きだけど、僕からすればそれほど体型を気にしなくてもいいように見える。ただ、これを口にしたら一週間口をきかれなくなる可能性がある。絶対言わない。
「りょうちゃんも油断してだらすぐだよ。若さのカロリー消費に任せてると後悔するよ」
「なんで僕より年上のような意見を言うんだ。でも、最近は朝に散歩してるから何とか……なるといいな」
「そういえば先週くらいからちょいちょい行ってるけど、それもうお年寄りの趣味じゃない?」
「そ、そんなことはない。朝の散歩は結構気持ちいいんだぞ」
「でも、早起きしなきゃいけないからなー それに一人だと退屈でしょ?」
「いや、一人じゃな……あっ」
僕が言葉を止めた時にはもう遅かった。明莉の興味はその相手に向かってしまう。
「りょうちゃん、誰と朝に落ち合ってるの!?」
「お、落ち合ってない。松永とだよ」
「嘘だー! まっちゃんは部活あるだろし、そもそも朝起きるの苦手でしょ!」
「なんで朝が苦手なの知ってるんだ!?」
「なんとなく。で、本当に誰? まさか大山先輩……」
「違う違う! 明莉の知らな……い先輩!」
「変な間があったんですけど!?」
よく思い出したら明莉はGWに一度清水先輩と会っていた。その時はスイーツ仙人だったけど……いや、改めてスイーツ仙人ってなんだ。
「というか、昨日のボウリングの話も聞かせてよー! 絶対楽しいことあったでしょ!」
「わ、わかったから! 腕は揺すらないで!」
それから明莉とここまでの夏休みの話を共有した。家で一緒にいる時間はそこそこあるくせに、お互いに詳しく話すタイミングがなかったから知らない部分を知れたのは楽しかった。ただ、明莉は僕よりも圧倒的に充実した内容だったので、僕も残りの時間で挽回すべきかもしれない。まずは筋トレ……しないだろうなぁ。
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