7月19日(月)晴れ 大山亜里沙との会話その17
夏休みまで残り2日。本日をもって期末テストが全て返却された。つまり、本田くんと大山さんのテスト勝負の決着がつく時だ。今回も合計点での勝負になるようで、13教科あるから満点は1300点になる。
「じゃあ、結果発表~ まずはぽんちゃんから!」
今回もいつの間にかやって来た松永が進行していた。
「オレは合計1152点」
「おー! えっと、つまりは…………平均88点くらい?」
80点を超えているなら凄く優秀だ。本田くんは本気で勝つために挑んだ……かはわからないけど、学生として普通に勉強はがんばったのだと思う。
「対する大山ちゃんは~?」
「アタシは……1094点……」
「おっと! ということはぽんちゃんの勝ち~!」
「あー! くやしー!」
点数的には平均84点と決して悪くない。教科ごとの点数で勝負すればまた違ったかもしれないけど、今回は合計点だから大山さんの負けだ。
「というわけで、勝者のぽんちゃんはお願いの遊びに行くを叶えられます! それで、どこに遊びに行きたいの?」
「それは……プールだ」
「ほうほう。だそうだよ、大山ちゃん?」
「プールいいじゃん! 新しい水着買おうかな~」
大胆な場所を提案するなぁと思ったけど、誘われた大山さんの方はかなり乗り気だ。最初から夏休みは遊んでもいいと言っていたのだから結果発表が茶番っぽくなってしまったけど、勝利者報酬として希望を言えるというのは本田くんにとって大きなところだったのだろう。
「俺たちも水着買っとかないとね、りょーちゃん」
「えっ? 松永も?」
「そりゃそうでしょ、みんなで遊ぶんだから」
僕がこの結果発表を気にしていたのは一緒に行くっぽい流れになっていたからで、松永が言う通りプールに行くとなれば中学のやつはもう合わなさそうだから新しい水着はいる。でも、松永も参加することは今初めて知った。
「部活あるし、予定聞いとこうか。ぽんちゃんはどう?」
更にはまとめ役まで松永が仕切り出してしまった。遊びに行く時はこういうまとめてくれる人がいるとありがたいんだけど、まさか主体だった本田くんと大山さんを差し置いてやるとは思わない。
「ねぇねぇ、うぶクン」
そんな聞き取りの最中、大山さんは僕に話しかけて、スマホの画面を見せてくる。画面にはメモ帳のアプリが開かれていた。
「アタシはこんなカンジの点数だった」
「へー……あっ、情報処理……」
「それ! 完全にここで足引っ張られちゃったんだよねー」
情報処理のテストはペーパーではなく、パソコンへ入力する形式のテストだった。そのせいもあったのかわからないけど、大山さんの点数はギリギリ平均くらいになっていた。
「でさ、うぶクンの合計点は?」
「えっ? 僕のも聞くの?」
「点数は見せて貰ったけど、さすがに全部覚えてないから。何点?」
「……1072点」
「よし! アタシの勝ち!」
僕が二人の点数が高いと思ったのは……自分の合計点がわかっていたからだ。そして、勝負には直接関わっていなくても、やっぱり他人の点数は比較したくなってしまう。まぁ、結果は場外でまた敗北しているのだけど。
「うぶクンと勝負しとけばケーキだったかぁ。惜しかったなー」
「……次は大山ちゃん。予定どう?」
「アタシは……」
それから松永が予定を聞いて回ったところ、プールへ行く日程は後日決定することになった。とりあえず本田くんが勝ったことはおめでとうと思っておこう。
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