4月24日(土)晴れ 親子とは
親子の関係というのは家族それぞれで違っていて、友人のように接する親子もいれば、明確に上下を感じさせるような親子もいる……らしい。というのも親子の関係を外で話す機会というのは案外ないもので、自分の親子の関係が当然のものであると僕は思っていた。
「良助、少し話がある」
普通の休日と思われた土曜。父さんにいきなり呼ばれた僕は、居間で向かい合って座らされる。何か怒られるようなことをしただろうかと考えを巡らせるけど、この貴重な土曜日にダラダラと家で過ごしていることを指摘されたなら、何も言えなくなってしまう。
そして、父さんはゆっくりと口を開く。
「先週の日曜の話だが……明莉と一緒にスイーツを食べに行ったそうだな」
「うん。イオンに行って……」
「なんで……」
「えっ?」
「なんで父さんを誘ってくれなかったんだぁ!?」
涙を流しながら言う父さんを見て、僕はまたかと思ってしまう。僕と父さんの親子の関係は……なんだろう。確実に悪くはないけど、最近はよくわからなくなってしまった。
「あれは明莉が僕におごれって言ったからで……」
「だったら、父さんに車を運転させればいいだろう!?」
「それはそうだったかもしれないけど、明莉が自転車で行くって……」
「どうしてだぁぁ! 明莉はなぜ頼ってくれないんだぁぁぁぁぁ!」
一応書いておくと、これは僕に対して寂しさを感じているわけではなく、明莉に対する感情だ。昔はここまではなかった気がするけど、最近の父さんは明莉への愛情が変に大きくなって、反対に明莉は父さんへの対応が少しドライになってしまった。
「なんで良助はOKで父さんが駄目なんだ!?」
「駄目ってわけじゃないと思う。たまには誘ってみたらいいじゃない?」
「でも、この前もスイーツおごるって言ったら、「今度りょうちゃんがおごってくれるから今はいいー」ってい言われたぞ!?」
それは残念だったねとしか言いようがない。いやしかし、明莉もそういうお年頃になってしまったようだ。その対象が僕じゃなくて父さんだったのはある意味感謝するしかない。
「なぁ、良助! 明莉に聞いてみてくれないか……?」
「何を?」
「……父さんをどう思っているかって」
めんどうくさいと思わず口に出してしまいそうになったけど、ここで僕も父さんを突き放したら、明莉のやつほどじゃないけど、ダメージを負ってしまうかもしれない。
「わかった。それとなく聞いてみる」
「頼んだぞ!!! あっ……でも、悪い答えだったら言わなくていい……」
テンションがはっきりしているところは明莉と似ているのにな……と思いつつ、僕は父さんの願いを請け負うのだった。
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