4月11日(日)晴れ 明莉との日常

 同じ休日である日曜でも、明日から宿泊研修があることで今日はいつもと違う日だった。火曜の時点で旅のしおりを貰っていたので母さんに必要な物を伝えつつ、自分で鞄に物を詰めながら今日までにはおおよその準備は終わっていた。


 ただ、僕は家を出てから電気の消し忘れを心配するタイプなので、昼間と寝る前、恐らく明日早く起きた後も荷物を確認することになるだろう。


「りょうちゃん、おみやよろしくねー スイーツとかご当地グルメとか」

 

 そんな僕が昼間にリビングで荷物チェックをしている時だ。妹の明莉あかりはさらりとそんなことを言ってのける。


「いや、明日行くの修学旅行じゃなくて宿泊研修だから……それに県内だし」


「県内でも食べてないおみやはいっぱいあるよ!? むしろ県民だからこそ地元のおみやは食べないと思う!」


「そうかもしれないけど、おみやげ買う暇とかないから……」


「え~」


 心底残念そうな顔をするので、割と本気でおみやげが欲しかったのかもしれない。何か買ってあげたい気持ちはあるが、今回はあくまで研修だろうから本当にそんな隙はないはずだ。


「りょうちゃん、寂しかったらいつでもあかりのこと思い出していいからね?」


「1泊2日で寂しくなるなら、僕は中3の修学旅行に行けなかったと思うぞ」


「あ~ 修学旅行のおみやげ美味しかったよね~」


「どれだけお食べ物に執着してるんだ!?」


 中学2年生といえば食べ盛りな時期かもしれないけど、そこまでのものなのか!? 僕が寂しい話はどこへ行ったんだ! それは本当に寂しいやつだぞ!?


「わ、わかったよ。今度暇な日があったら何かスイーツ買いに行こう」


「おごってくれるの?」


「……ま、まぁ、そうなるかな」


「わーい! りょうちゃん、早く帰ってきてねー」


 跳ねそうなほど喜ぶ明莉を見て、現金なやつと思いながらも満更ではない気持ちになっている僕がいた。ちなみに僕はシスコンではないと思う。

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