第27話  殺戮の将軍

『どういうことだ、これは⁉ 春日君が拉致されて、不死の法って・・・トキジク、君は・・・』


 玄女は手紙を読み、珍しく取り乱していた。


『どういうことって、書いてある通りだろ。春日はなんやかんやでめでたく金華秘書を見つけ、しかしなんだかんだで横取りされたかして、どういう訳か俺に完全な不死の法を教えろっていってきてんだよ、その手紙を寄越した奴がさ。しかも春日と引き換えに』

『なんだと、それはあの危険な金華秘書が、人を拉致して脅迫するような人間の手に渡ったといことか⁉』


 光がなんかいろいろ解説してくれた。

 褒めてつかわす。


『まさかこんなに早く見つけてしまうとは、流石というか。しかし春日君の身が心配だな』


 玄女がいった。


『そもそもカスガクンとは誰なんだ?』

『トキジクの助手で、ここで同居して一緒に住んでいる少年だ』


 玄女は光に説明した。


「・・・焼き討ちだな」

『ん? なにかいったか?』


 光が俺の呟きに反応したが、日本語だったので上手く聞き取れなかったようだ。


『どうするつもりだ? トキジク』


 玄女が不安そうに訊いてきた。


「・・・皆殺しだ」

『え? なんだって?』

「全員斬首の上、頭蓋に穴をあけて杯にしてやろうか」

『どうした? トキジク』

「むしろ生きたまま頭に・・・脳味噌を」

『おい、トキジク、腹でも減ったか?』

『ああ? なんかいったか?』


 俺はわれに返っていった。


『薄気味悪い笑顔で独り言をいっていたので、腹が減ったのかと。朝飯がまだだしな』


 玄女がいった。

 どいう感性をしているのか疑わしい。


『おまえはそればかりだなぁ。まぁいいだろう。ワシは急ぐ故、おまえたちは好きにしろ』

『ワシ? どうしたトキジク。呼称がおかしくなってるぞ』

『なにを訳のわからぬことをいっておる。ワシは急ぐのだ』

『訳がわからないのはこっちだが、追い待て、何処へ行く?』

『勿論、ワシの可愛い下僕のところだ』

『下僕? 春日君のことか。それなら私も行くぞ』


 玄女がいった。

 下僕で通じてくれて我ながら怖い。


『それなら僕も行くぞ。金華秘書とその行方、事の成り行きを見届けねばならない』


 光も食い下がってきた。

 なんだこいつら、わざわざ付いてくるとは。まぁ、弾除けくらいにはなるか。


『付いてくるのは構わないが、足手まといにはなるなよ?』

『玄女さん、先程からトキジクの様子、どこかおかしくないか? やたら高飛車というか』

『確かに言葉遣いはへんだが、高飛車なのは最初からだぞ?』

『まぁそうなんだけど、酷くなったというか・・・』

『おい、二人でなに無駄話をしておる。早く付いて参れ!』

『まるで将軍だな』


 光はやれやれといった感じでぼやいた。


『さぁて行くぞ! 皆殺しの焼き討ちじゃ!』

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