校則 恋人
仲仁へび(旧:離久)
第1話
まさか入学早々、こんな事で困るとは思わなかった。
入学式を終えた私達は、校門の所で話し合っていた。
きっとどちらも今、「信じられない」という顔をしているに違いない。
泣きたい。
けど泣けない。
辛いのは彼もいっしょ。
私は、こみあげてくる涙を、必死におしとどめようとしていた。
目の前には、ついほんの数分前まで彼氏だった人。
彼は困ったような顔で、こちらを見ていた。
「ごめんね。別れたいだなんて勝手だよね」
彼は今、別れようと切り出してきていた。
私と彼は今まで付き合っていた。
けれど、とある理由で別れるはめになってしまったのだ。
「まさか、異性と交流してたらだめなんて、そんな校則があったなんてね」
私達はこの春、高校に入学した。
でもその学校が、なんというか時代遅れで、恋愛にうつつを浮かすなんてたるんでる証拠、みたいな気風があるのだ。
だって、さっき体育館で喋ってた校長先生が、めっちゃそれっぽい事言ってたし。
別に内緒で付き合っていたっていいと思う。
この学校には知り合いがほとんどいないのだから。
けれど、「ごめん、僕が嘘が苦手なために」彼が致命的に取り繕うのがへたなのだ。
そんな所も良いところだなって思ってるけど、今は死活問題。
気にしすぎかもとは思うけど、校則やぶりで停学を食らってしまったらまずいという事で別れる事にしたのだ。
涙をこらえていると、彼が頭をなでてきた。
「大丈夫、三年の辛抱だよ。高校を卒業したらまた付き合おう」
私達は小指を絡めて約束を交わした。
想いあっているのに、別れなくちゃならないなんて、辛い。
けれど、彼も同じ気持ちだと思って、我慢する事にした。
あーあ、世の中には馬鹿っぽい校則がたくさんあるのに。
他のやつだったらまだ我慢できたのに。
なんでピンポイントで私達の弱点ついてくるとこ選んじゃったかな。
校則 恋人 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます