僕らの1年間戦争

柿本 修一

序章

1-1

(今の俺、つええかも。)

待機場所で、気味の悪い笑みを浮かべるコヤマ。

ただ、漠然とした〝自信〟だけが体を満たしていた。


そう、何の根拠もない自信が。



『クエスト開始時刻になりました。各自お進みください』

アナウンスと共に、今回の挑戦者たちが一斉に進み始める。

今回のクエストは120分の制限時間の中で、4つのダンジョンを攻略することが目標である。

例年そうなのだが、全体の把握が困難なうえに、間違ったルートを進んでも気付きにくい曲者ダンジョンである。挑戦者は、自らの経験に裏打ちされた勘と、確かなスキルを駆使し、ベストを尽くすことを求められる。


(よし…1なら何とかなるか…)


さて、今回のダンジョンは1~4の4つ。もちろん、〝1から順に攻略しろ〟というルールは無い。何番から攻めてもOKだ。

ただ、通常1から順に難易度が上がっていくから、結局のところ───そういう事だ。

おそらくこの会場にいるほとんどの連中が1番から攻めていることだろう。



(いや、待てよ…この1番意外と手ごわいかも…)


…あまり幸先の良い事では無さそうである。

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