天正さん家の家族ごっこ〜俺に腹違いの兄弟が七人もいた上に、異母妹が俺にだけ敵意むき出しな件について〜
花色 木綿
第0戦:出会いが最悪だった件について
プロローグ
ザーザーと、心地良いシャワーの音が扉の向こうから鳴り響いている時点で、おかしいなあとは思ったんだ。だけど、考える暇もなく、キュッと蛇口が閉まる音が聞こえたのとほぼ同時、がらりと内側から扉が開いたんだ。
これまた考える暇もなく、その隙間から現れたのが、白い肌に、ぷっくらと赤く色付いた唇と、栗色の水分をたくさん吸った長髪をした女の子――それも、今まで会った女の子の中で、ずば抜けて可愛い子だなんて、誰も思いもしないじゃないか。
その上、彼女の大きな瞳が、まるで刃みたいな鋭い光を宿して。瞬間――、俺の頬に右ストレートが的確に撃たれるとは。昨日までの俺は、微塵も思っていなかった訳で。
まさか、彼女は七人目――?
なんて。そんなことを思いながらも、俺の意識は次第に遠退いていった――……。
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