h24.09.19. いろは


 花結びの風と水写しの陰

 春見慣れの秒と雪数えの蝶


 僕らは空を切らぬ音を鳴らしたかった

 今より強くか弱くなりたいだけだった

 閉ざす胸に綴じて


 振り返ってゆく先の最後の花は

 静かな水面を 凪がせずに咲いた


 とても小さく合図が鳴った

 あの日呑み込んだ傷が出口を求めるように

 

 季節のようにこの手を取って

 その頬の頷きを教えて欲しかった


 例えたった一つでも 届くのならと浮かべつづけた

 いつか君に 話したみたいに。



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