第119話、庭木整理 ① 神の領域
我が家( 相続した実家 )には、猫の額ほどではあるが、小さな庭がある。
元々は、家の前にある道まで8m、間口13mほどの大きさの庭だった。
40年ほど前に、私と弟の車の駐車スペースを確保する為に削り、現在は半分ほどの大きさになってはいるが、第93話『 遺産 2 』でも紹介させて頂いた通り、2年前に亡くなった花好きのお袋は、この小さな庭に、実に様々な樹木を植えた。
高齢となった15年ほど前からは、ほとんど手を掛けず、木々は伸び放題。
時々、親父が、電動剪定ハサミや電動ヘッジトリマー( 生垣用のバリカン )などを買って来て剪定( 素人伐採 )していたが、お袋の
そして、10年……
伸びきった樹々は、大きな影を作り、地面には陽が当たらないようになった為、張ってあった芝は全滅。 下草が
敷地を越え、お隣さんへ『 領空侵犯 』している枝葉も続出。 更には、家の軒や壁に接触し、風に吹かれて揺れ、跡を付けている状態だ。
相続した私には、この庭を再生する義務がある。
家のリフォームも完了したので( 400万掛かった… )、いよいよエクステリアを含めた、庭( 密林 )のリフォームに着手である。
当初、庭を全て潰して整地し、コンクリートを打設して駐車場にしたかったのだが、更に数百万ほど掛かるので断念。 充電式のハンドソー( 電動ノコギリ )を購入し、脚立で伐採・剪定出来る箇所は、自分で行っている。 派遣業務時代、造園会社にも出向していた経験が、非常に役に立った。 お袋も、渋々、了承してくれるだろう。(笑)
派遣された造園会社には古参の剪定師の方がいて、作業中、私に色々な話を聞かせてくれた。 迷信めいた話もあるが、樹々も生き物である。
そもそも、樹木を伐採するには『 時期 』が存在する。 実は、切ってはいけない時期がある事を、ご存知だろうか。
土の中には『
土公神は、春は竈 ( かまど ) 、夏は門、秋は井戸、冬は庭におり、その季節に、その場所のものを動かせば、祟りがあるとされている。 この神様は、季節と密接な関係があり、四季の事始めなどに深く影響しているのだ。
例えば、夏の『 土用の丑 』に代表される『 土用 』。
『 土用 』とは、五行( 火・水・木・金・土 )に由来する暦の雑節の事だが、年に4回ある土用、『 立春 』・『 立夏 』・『 立秋 』・『 立冬 』の前、18日間の『 期間 』の事を指す。
この期間中は、土が活発になる( 虫・雑菌などが活動を始める事 )為、土を触ってはいけないと言われている。 つまりは、健康に対する
特に、庚午( かのえうま )という干支の組み合わせの7番目にあたるものと、丙子( ひのえね )という干支の13番目までを指す『 大つち 』。 そして、戊寅( つちのえとら )という干支の組み合わせの15番目にあたるものと、甲申( きのえさる )という組み合わせ21番目までの間のことを指す『 小つち 』。 双方を現在の月日に照らし合わせると、大つちは、偶数月の初めの方から7日間、小つちは、大つちの期間が終了してから1日空けて7日間である。
この期間中は、土を触る事を控える。 土木業者の中には、それに相当する土木作業を延期する業者もいるほどだ。 剪定師なら勿論、造園業を営む会社なら当たり前のしきたりである。 もし、剪定・伐採を業者に依頼する場合、この事を知っているか否かで、その造園業者の業務レベルを推察する事が出来るだろう。
ちなみに、剪定は『 土 』を触らないので、いつでも作業が可能である。 切り倒す場合や、根を抜く事( 伐根 )が、ご法度なのである。
さて、具体的に庭の樹木たちの今後を決めてみた。
幹の直径が20㎝を超えるものは重量・高さがあり、切り倒すと非常に危険である。 とある樹木の15㎝越えの枝を試験的に伐採してみたが、落下した先の、脚立の階段は変形してしまった。
これは、造園業者に委託するしかあるまい……
以下、各樹木を数回に分け、このエッセイで綴って行こうと思う。
次回、1編目は、最大の懸念となっている『
画像を交えての公開予定。
*近況ノートに、玄関前の嵐門から、庭への入口画像をUPして
おきます。
『 侵入者 』が来ても、躊躇する雰囲気。 奥に方に、ナニがある
のか分からないのが、不安にさせる状況となっており、ある意
味、完璧なセキュリティーシステムとも言えます。(笑)
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